チーズ特集:専門レストラン「ヴァランセ」限定品200種のチーズ
ヨーロッパの食文化を代表するチーズとワインを日本の食卓に定着させようと五年前にオープンした「ヴァランセ」。雪印乳業(株)とチェスコ(株)により運営され、チーズ専門のレストランとしては数少ない店の一つである。
店内は物販部門とレストラン部門に分かれ、それぞれ輸入チーズをはじめ、雪印自社工場の限定品二〇〇余種がラインアップされている。
「少しでも多くの人に実際に食べて味を知ってもらおう、親しんでもらおう」(遠藤裕晃料理長)という思いから、メニュー表はビギナーでも選びやすく七つのタイプ(フレッシュ、白カビ、青カビ、シェーブル(山羊)、ウォッシュ、セミハード、ハード)に分類してある。
いろいろと試してみたい人にはおすすめのチーズプラトー(盛り合わせ)の注文があると、専任のチーズ熟成管理士がワゴンでテーブルに運び、一つ一つ分かりやすく説明をしていく。意外に話を聞くことで慣れ親しんでもらえると人気のメニューだ。
店では基本的に一年一回のメニュー改定を行う。今年も10月に行ったが、今回は今までになく大幅な改定をした。
まず、一〇〇%チーズメニューだったものに、チーズレスメニューをわずか一〇%と数量的には少ないが組み込んだこと。またポーションを少なくし、単価も三割下げた半面、メニュー数を増やした。
こうした改定は初心者にも好みでチーズメニューを取りまぜながら楽しんでもらい、リピーターには皿数を増やし、レパートリーを広げてもらおうという意図があったからだ。
「意外に皿数は変わらず、価格の差額分はワインのグレードアップにつながり、結果として客単価は少しばかり上がった」と遠藤料理長。チーズとともにワインを売る店だけに難しいところ。
メニュー数増加と内容の改定で、全スタッフは「半強制的に勉強させています」とのことで、全員がノートを作成、お客に説明できる体制作りをする。ただし説明はすべてマニュアル化したもの。「なじみのうすいタイプのものをなんとか食べてもらおうと工夫した料理」を、個人の好みで説明されるのを避けるためだ。
ほとんどを占める女性に人気のタイプはフレッシュタイプでハーブ系。海外での経験からかなり味のレパートリーを広げているが、「マニアックなものを望む客もだんだん増えており、チーズ専門店らしくなってきた。今後も専門店だからこそできる店づくりをしていきたい」と新メニューにかける意気込みをみせる。
◆「ヴァランセ」(東京都渋谷区神宮前六‐五‐六、Tel03・5466・2601)創業=平成5年11月、営業時間=チーズショップ午前10時~午後9時30分、レストラン午前11時30分~午後4時30分、6時~10時30分、第三月曜定休、坪数・席数=三〇坪・五〇席、スタッフ=社員五人・アルバイト一五人、客単価=昼一五〇〇円・夜四五〇〇円、一日来店客数=約一一〇人、客層=ターゲットは二〇代女性。実際は二〇~三〇代女性が八割。
「カボチャとレーズンの北海道マスカルポーネサラダ」
■材料/カボチャ、プチトマト、レーズン、ミックス野菜
■作り方/マスカルポーネとカボチャをあえ、塩、コショウしミックスサラダにのせ、マヨネーズをかける。
■ワンポイント/マスカルポーネはクリーミーでコクのあるチーズ。野菜料理、デザートなどに合う。
「本日の鮮魚ポアレ エポワッスソース」
■材料/鮮魚、エポワッスチーズ、バター、グラスドポワソン
■作り方/香草をまぶした魚をオーブンで焼く。生クリーム、エポワッスチーズを合わせ、パセリ、バターで仕上げる。
■ワンポイント/エポワッスチーズは火を入れると塩分、香りが強くなるので、生クリームや香草で食べやすくする。
「フローズンチーズプラート」
■材料/(1)クワルクの二色のフローズン(クワルクチーズ、シロップ、ブルーベリーのピューレ)
(2)トマトとリコッタのソルベ(フルーツトマト、レモン、レコッタチーズ、シロップ)
(3)カッサータ(マスカルポーネ、生クリーム、はちみつ、卵白、パパイア)