ヒット食材徹底検証 「テーオー生おろししょうが」テーオー食品

1998.11.02 165号 15面

外食市場の活性化に貢献した業務用加工食品の功績を記念表彰する「業務用加工食品ヒット賞」は、本紙創刊五周年を契機に各関係団体協力のもと創設された。これまでに「和食」「洋食」「中華」「給食」の四部門で計二四製品が受賞に輝いている。これらの製品は、昨今の消費低迷のなかでも元気いっぱいだ。ではヒットの要因は何なのか。このシリーズでは、受賞ヒット製品の開発コンセプトと成功要因を徹底検証する。今回は、和食部門で受賞した「テーオー生おろししょうが」(テーオー食品(株))。

外食市場における業務用生おろしショウガの消費規模は年商約一五億円。約七〇ブランドがひしめいている。そのなかでシェア率七〇%と圧倒的強さを誇るのがテーオー食品(株)の「テーオー生おろししょうが」だ。色、香り、形状のすべてがおろしたてのショウガそのもので、昭和54年発売以後、対前年比一〇~二〇%増で伸び続けている、基礎調味加工食品の大ヒット製品である。

同製品は、業務用加工生おろしショウガとしては後発ブランドである。それがトップブランドに躍りでた成功要因は、本物志向を追求した無塩タイプの新開発と地道な営業活動にある。

従来タイプは、ショウガの皮むきとおろし手間を省く簡便性を訴求ポイントとするもので、塩分添加による賞味期間の確保は否めず、香り、風味の損壊は簡便性の代償とされてきた。テーオーは、調理現場サイドの意向から、ショウガ本来の魅力である香りと風味をおろしたての状態そのものに残すことにこだわり、ついに無塩の開発に成功したのである。

高まる認知度汎用性が魅力

発売以後は中華料理店を主軸に営業活動を推進、認知度を徐々に高め、いまでは和・洋・中いずれからも重宝される汎用製品と化している。

同製品の発売前、外食市場に占める業務用加工おろしショウガのシェアはわずか五%前後。それが現在は三〇%にまで普及している。同製品の多大な貢献度は一目瞭然といえよう。

こうした技術革新とロングヒットは、同社が一二〇年の伝統と実績を誇るスパイスメーカーのパイオニアであったことを抜きには語れない。香り、風味、本物を尊重し、現場の要望に応える企業理念あってこそ、先端設備投資と地道な営業努力の二本立てを可能にしたわけで、発売以後二〇年間経ったいまなお伸び続けている理由もそこにある。

フレッシュ、無添加冷凍も

昭和30年以後の粉末ショウガ全盛期中も、香りと風味を重視した荒粉末ショウガの開発で、ショウガの代替活用に大きく寄与した実績を持つ。「より、おろしたてに近く」の精神はいまに伝承され、最近はワンランク上の「フレッシュ本生しょうが」、無添加の「冷凍生おろししょうが」を新たに開発。本物追求の手をゆるめない。また、従来の枠組みにとらわれずに、ショウガの持つ豊かな風味やヘルシー性の生かし方もさまざまに提案している。

限られたマーケットで普及率を高め続ける実績は、調理人の信頼を日に日に強めている証拠でもある。業務用加工食品としてのあるべき姿を示す「テーオー生おろししょうが」、今後、さらなる貢献が望まれるところだ。

◆テーオー食品(株)(東京都豊島区南長崎一‐二‐四、Tel03・3952・1381)創業一二〇年の老舗。

伝統である技術重視の品質第一主義を前提に、若々しさ、積極性を特色とするバイタリティーあふれる企業づくりを目指している。創業からの粉末スパイスに加え、近年はチルド、冷凍食品の開発に注力し、さらにはスパイスの技術を生かして中華素材、調味料市場、エスニック市場、健康食品市場などの新市場創造に挑戦し、さらなる飛躍を期している。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら