飲食トレンド:ウサギでジビエ、川崎シェフの特別メニュー
今年の干支(えと)は卯(うさぎ)。高島易断「神正暦」によると昨年の寅(とら)は、謹しむ(つつしむ)の意もあり、じっと発芽の時期を待つさま。卯は、扉が左右に開いた形で、草木が土を割って芽を吹き、やがて地面をおおう繁茂の勢いを示す。また、来年の辰(たつ)は、春の陽気に誘われて天地、自然界万物が振動し、草木の伸びも速度を増しはじめるとあり、運気は上向き状態にあるかに見える。二一世紀を前に、今年こそ大きな飛躍をという願いを込め、ウサギが主役のメニューを仕掛けてみてはどうだろう。
もっとジビエ料理を楽しんで欲しいというKDDホテルストラーダの川崎素裕料理長。二〇代でペルー、アメリカ、カナダを八年間料理放浪、各国の野趣あふれるジビエ料理を会得、得意とする分野にしている。
今年の干支であるウサギは飛躍的人気はないが、時にいろいろ食べたお客から注文を受け、背肉を焼いたコース仕立てで特別提供する。鶏肉に近い淡白な味には赤ワインや香りを生かしたチョコレートソースが合い、そのほか腿肉などは煮込みにまわされる。
写真の「ウサギ背肉の詰め物蒸し焼き ローズマリーの香り」は、丸ごと二羽を使い、一羽をミンチ、タイム、ローズマリー、セルフィーユなどの香草を腹に詰め、野菜を敷いた上に載せオーブンで焼き上げ、煮汁とシェリー酒、フォンドボー、クリームなどでソースを作ったもの。
同ホテルでの肉料理人気の順位は牛、鶏、豚、羊の順。「個人的には牛より仔羊(ラム)がうまいと思う。どうしても安くて臭かったマトンのイメージが強いのか、本当のおいしさが分かってもらえていない」と川崎料理長。
本紙「外食レストラン新聞」のシェフアンケート調査でも、仔羊、地鶏などへの関心が高いという結果を得ている。
カロリーは低く、高タンパク・低脂肪でヘルシー、価格も一羽一六〇〇円前後と安価なウサギ。卯年を機に、まだまだ味覚開発されていないジビエ料理への期待度は増す。