厨房のウラ側チェック(17) 食品添加物の手品(その6)

1992.12.07 17号 8面

着色料としての赤色は、前号で説明した2号の他に、赤色3号、40号、102号、104号、105号及び106号がある。

これらを簡潔に説明している西岡一の『すぐわかる食品添加物ガイド』の毒性・問題点から引用すると、赤色3号は、発ガン性の不安があり、現在ドイツ、ポーランドなどでは使用が禁止されている。また、アメリカでは、水に溶けないようにしたアルミニウムレーキが禁止されている。赤色40号は、アレルギー性が認められており、発ガン性と先天異常については微妙な結果で陰性とされている。また、赤色40号はアメリカで開発された色素であるから、アメリカからの輸入食品によく使用されている。赤色102号は、Andrianovaの報告ではラットで発ガン性があるデータがあるし、アレルギー性も認められているようである。

なお、アメリカ、カナダ、ベルギーなどでは使用が禁止されている。赤色104号は、危性毒性のLD50は、マウスで2・26㌘/㎏、ラットで2・89㌘/㎏だが、Rec assay法によるDNAの損傷性が認められている。

さらに、発ガン性の疑いが濃厚で、外国では使用禁止になっている。赤色105号は、104号と並んで使用許可されているのは日本だけになりつつある。不安は遺伝子損傷性や発ガン性である。赤色106号は、赤色系タール色素のなかでも発ガン性がこれほど世界的に認定されているものはなく、使用が継続されている国は、世界中でほとんど日本だけである。

次に、食用黄色4号と5号についてデータに基づき述べてみよう。一日摂取許容量(ADI)は、黄色4号で7・5㎎/㎏、黄色5号で5㎎/㎏である。これはFDAの資料によるもの。

突然変異原性の実験ではZhurkovは、黄色4号で染色体異常の頻度が増加したことを認めている。アレルギー反応のデータでは、Lockeyは医薬品中に含まれている黄4号と黄5号の使用状況とその薬品投与によって起こった三つの症例を報告している。その症例は、全身にじんましんが発生、症例2は、全身のじんましんに加え、口唇、舌、口蓋垂に限局性浮腫が発生。症例3は、嘔気と口腔、舌にヒリヒリする痛みが生じ、強い頭痛と嘔吐を伴う全身じんましんになった。また、アレルギー体質の人にとっては、食品や薬品中に含まれているわずかな量で、じんましん、柴斑病など、さまざまな症状が再発することが明らかにされた。

さらに、誘発試験の結果は、アスピリンのみでなく、安息香酸塩や加工食品に普通に用いられているアゾ色素に対しても反応しやすいことを示していた。アゾ色素には赤2、赤102、黄4、黄5などがある。

その他の生化学的試験では、ペプシントリプシンによる人工消化試験で色素の増加に伴って酵素活性阻害が増すことを認めている。また、単独使用より黄5号と赤106号、黄5号と4号の混合の方が、酵素の活性度は低下した。(次号につづく)

食品衛生コンサルタント

藤 洋

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