名古屋市の飲食業界泣き笑い 笑い=不況に強い居酒屋
年間で最も外食需要が増す忘年会シーズンがやってきた。しかし、名古屋市最大の夜の繁華街‐通称キンサンと呼ばれる中区錦三丁目からネオンの数が減った。それを反映するかのように忘年会戦線には凝心暗鬼が渦巻いている。不況下にあってどこが笑い、どこが泣くのだろうか。
名古屋地区で二六店、全国合わせて四七店の居酒屋・パブを展開する㈱栄太郎(本社、名古屋市中区栄四‐一四‐一五)は、不況下での強さを発揮している。
年末の最需要期に入るまでの状況について久保敏雄取締役営業副本部長は「わが社は宴会指向の店が多いのですが、逆に良かった。既存店で一〇%ほどアップしました」と話す。
その好調さを裏付けるように10月下旬から11月にかけて、宴会予約の申し込みは順調に推移した。郊外型の店では10月初めから宴会の予約が入りはじめ、都心型では同下旬から飛び込んでくるようになった。ただ、大口予約の申し込みは減少気味だが、その分小口予約がカバーしている。プラス、マイナスで宴会予約の出足は昨年並みとなった。
予約は、まず金・土曜日から詰まりはじめ、11月下旬には平日が埋まる。この状況は同社でも同じだ。久保副本部長は「例年12月はどの店も飽和状態だ。これ以上の売り上げを出そうとすれば宴会単価を引き上げるしかありませんが、不況の時代を考えて据え置きました。だから、売り上げでみれば昨年並みとなるでしょう」と説明する。
同社の宴会単価は通常が飲み物込みで四千円~五千円、忘年会シーズンには同六千円~七千円となる。12月第二週から第三週がピークとして、いま気合いを入れ直している。
ところで、同社の今期売上目標は九五億円(前期八三億円)。爾見忠雄(しかみ)専務取締役は「今までがいい感じできているし、後半は12月、3月といった需要シーズンを控えているために十分達成圏内にあります」と見通しを立てている。
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宴会予約の状況が順調だったのは栄太郎だけではない。同市に本社を置く㈱木曽路の居来瀬、若い女性に人気のあるやぎや(中区)、鍋専門のザ鍋(同)なども好調が伝えられている。ポケットマネーで安く上げられる居酒屋タイプは、不況に強いというわけなのである。