で・き・る現場監督:飛騨の高山らーめん新宿マイシティ店・野村店長

1999.01.18 170号 17面

駅ビルという場所柄、客層は学生、OL、サラリーマン、そして外国人観光客が多いという「飛騨の高山らーめん新宿マイシティ店」は、月商七〇〇万円、年商八五〇〇万円。しかし、このところの不景気で、売上げの前年比は九八・一%とやや停滞気味だ。

「店が、人通りの多い通路より少し奥まったところにあり、人の流れをうまく取り込めていないというのも原因だと思います」と店長の野村さん。

この店は、社員は二人で、あとはすべて学生アルバイトで運営されている。

「みんな、頼めばきちんと仕事をこなしてくれますが、気配りが足りない部分もある。一人ひとりが、自分から気配り目配りができるようになってもらいたいですね」

そのため、終礼では、自発的に動くということを繰り返し話し、スタッフの意識を高めているところだ。

野村さんは新人に対して、「サービスとは何か」を徹底的に教え込む。「お客さまは店に来て、ただ出されたものを食べているだけではない。従業員の働く様子も見ている」との考えから、態度、身だしなみ、言葉遣いの三要素を特に注意しているという。

また、客としての立場で考えるようにと、スタッフ全員にロールプレーイングを行わせている。これは、客席に座らせ、客としての立場からお互いの働きぶりを評価しあい、それをもとに反省するというもの。客の目線で見ることで、自分の足りない部分を知るきっかけにもなるという。

ワンクッションおいて注意

野村さんは、スタッフとの接し方について、「自分は甘い方ではないかと思いますね」と言う。たいしたミスでなければ、見て見ぬふりをして、最低限のことしか叱らないようにしているらしい。というのも、注意しているうちに、感情的になってしまうことが多いからだそうだ。

あとはワンクッションを置いて、終礼の際の反省会で、みんなに注意してほしいこととして伝えるようにしている。

野村さんが特に難しいと感じるのは、厨房で働く外国人スタッフとのコミュニケーションの取り方だという。これについては、ミーティングなどでフォローしているらしい。

そして週に何度か、五~一〇分程度、個人面談を行い、スタッフ一人ひとりの不満などを聞き、問題があれば対処している。

売上げの伸び悩み対策としては、ランチメニューの充実を図ってきている。

女性客がターゲットのヘルシーセットなどは種類を増やし丼物も多く取り入れるようにしたり、セットメニューとしてラーメンにミニ丼をつけられるようにするなどだ。

日替わりメニューも、以前は一週間に同じものが二回、三回と出ることがあったが、品数を増やし、変化をつけ、常連客でも飽きがこないよう工夫している。

まだ数字での成果は表れてはいないが、感触としては悪くないらしい。

「課題はいろいろとありますが、とにかく今は、売上げを伸ばしたい。そのためにも、よりよいサービス、おいしい料理の提供を考えていきたいですね」

◆和幸(株)/代表取締役=稲葉武/設立=一九七六年/所在地=東京都豊島区巣鴨一‐一九‐一二、Tel03・3945・0010/全国規模で「とんかついなば和幸」「飛騨の高山らーめん」などの飲食店を経営/年商=一一七億円/従業員数=正社員三六一人、パート・アルバイト二〇九五人

◆「飛騨の高山らーめん新宿マイシティ店」(東京都新宿区新宿三‐三八‐一、マイシティB1、Tel03・3341・0122) 店舗面積=二六坪/客席数=四一/従業員数=正社員二人、アルバイト八人/ラーメン・甘味の店で、客層は昼は学生やOL、夜はサラリーマンが多い。

◆のむら・なおすみ(飛騨の高山らーめん新宿マイシティ店店長)=昭和32年東京都生まれの四一歳。平成7年に和幸(株)に入社。とんかついなば和幸町田小田急店、同新宿マインズ店を経験したのち、現在の飛騨の高山らーめん新宿マイシティ店に。勤務時間は午前11時~午後11時。月に六回の休みには、ドライブを楽しんでいる。

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