カフェ特集:成功要因と背景
喫茶店業態の全盛期、昭和56年。店舗数は一七万店を数えたが、それからは衰退の一途、現在は一〇万店を割り込む状況にある。一方で、喫茶店を特化したカフェという新しい業態が矢継ぎ早に開発され、大筋三つの潮流が定着しつつある。いずれも不況をしり目に元気が良い。喫茶店からカフェへ特化(業態転換)した成功事例をもとに、カフェ台頭の要因と背景を分析した。
不況時に喫茶業は成長するというと皮肉めいた理論になるが、それは事実だ。表1は、喫茶店が急成長した昭和の後半とカフェが現れた近年を比較したもので、成功要因と時代背景を表したものである。この二つに共通しているのは、(1)激動する時代(2)その結果として多くの優れた経営者予備軍がこの業種に流れ込んで来る、ということだ。
昭和46年から55年が喫茶店の一大成長期であった。このけん引役は「コーヒー専門店」という極めて優れた儲けの構造であった。売上げの八〇%がコーヒー、低い原価、抜群の労働生産性、一〇%を切る家賃比率という強さがあった。しかし、昭和56年をピークに、売上高を訴求するカフェバーの台頭とともに、儲けの構造を失っていき、時代に埋没していったのである。
発想の転換が新業態を創出
しかしこの儲けの構造を今一度検証し、新しい概念で構築すれば、成功するのではないかと考えた経営者がいた。これが三つの業態としてよみがえったのである。
(1)「コーヒーを主力商品にして数(客数)を多く求める業態」
(2)「コーヒー一カップの価格はラーメン、そば・うどん、タクシー初乗りという定義に基づいて高い付加価値をつけて高く売るという業態」
この二つは定義でいうと主力商品(コーヒー)が売上高の六〇%を占める専門店のカテゴリーに入る。
(3)「フードを特化強化しファミリーレストラン(FR)にない魅力を訴求。基本はコーヒー一杯でも気軽に入れるコックレスカフェで、客単価六〇〇~一〇〇〇円とFFSやFRのすき間を突いた新業態」
この業態を「イートカフェ」と呼ぶ。この三つの業態がカフェ三極化といわれているのである。