驚異の集客地域一番店ルポ:小山おいしい広場「火の国」「すし勢」「かつ萬」

1999.05.17 178号 4面

「小山おいしい広場」は郊外型居酒屋、漁師の番屋「火の国」を中核店舗として、グルメ回転寿司「すし勢」、こだわりとんかつ「かつ萬」の三店舗で構成されます。各店舗、吟味し抜いた素材を使い、好評を得ています。各店の月商も火の国が二〇〇〇万円、かつ萬一三〇〇万円、すし勢にいたっては、三七〇〇~四〇〇〇万円の売上げ。これは、当初予想二〇〇〇万円の約二倍の売上げとなり、こちらも非常に驚いています。

かつ萬も当初予想一〇〇〇万円を上回る売上げとなっており、火の国も目標が二〇〇〇万円でしたから、三店舗ともに、九七年11月のオープン以来、好調に売上げを伸ばしているといえましょう。

ただ、三店舗の中ではかつ萬が少し弱い、という感じは否めませんでした。そこで、当社では昨年11月から、お客さんの声をよりダイレクトに現場に反映させ、かつ萬をより盛り立てようと、寄せられたアンケート結果にじっくりと耳を傾け、かつ萬を超繁盛店へのし上げようと、仕掛けを行っているところです。→

→かつ萬で最も多かったクレームは、肉の揚げ具合についてでした。とんかつは、肉の中心部分に少し赤みを残した揚げ状態で召し上がっていただくほうがおいしいのです。しかし、肉の中心部分に少し赤みを残した状態ですと、「火が十分に通っていない」というクレームが非常に多く寄せられていました。

そこで考えました。肝要なことは、こちら側の意見をお客さんに押し付けてはいけないことです。肉の中心部分に少し赤みを残した揚げ状態で召し上がっていただくほうが、おいしいのは確かだ。しかし、赤みが残っている肉がお嫌いなお客さんも多いことを、アンケート結果は示している。そこで、ステーキのように、揚げ具合をオーダー時にお客さんに尋ねるようにしました。この接客姿勢は高い評価をいただいています。

また、「黒豚厚切りとんかつ」(一六八〇円)をメニューに加えました。これは、自信作です。従来の中ロースは一五〇gの肉を使用。黒豚厚切りとんかつは二五〇gの肉を使用しており、十二分な食べごたえがあります。

4月8日、茨城県結城市に「結城おいしい広場」をオープンしました。ここは、「小山おいしい広場」をさらにグレードアップ、超繁盛店の集合体、北関東の食文化の発信基地に足り得るものと自負しています。

店舗構成はすし勢、とり料理専門店「とり屋楽座」、そしてイタリアンレストラン「グラデボーレ」。すし勢は一〇〇坪六〇席で、年商五億円は確実に狙える店舗としました。小山おいしい広場のすし勢でピックアップした六〇項目の改善点を徹底的に見直した、一層パワーアップしたグルメ回転寿司としました。

とり屋楽座は筑波山麓の養鶏場で朝絞めにした鶏肉を使用。これにより、秋田の比内鶏にも負けない高品質の鶏を、安く仕入れることを可能としました。店内はオープンキッチンを採用することで、開放感を演出しています。

そして、グラデボーレで、初のイタリアンに挑みます。メニューはパスタ、オムレツ、ピラフ、そしてケーキで構成。パスタは日本そばの釜を使いゆで上げます。この釜の方が、通常使用されているずん胴より、湯の対流が大きく、よりおいしくゆで上がるのです。

厳選した素材を安く仕入れることで、料理の質は最高ながら値ごろ感を実現した専門店の集合体、結城おいしい広場。この新しい広場を、必ず、新たな北関東の食文化発信の基地、超繁盛店としてみせます。

「火の国」は小山おいしい広場の核店舗として、九七年11月にオープン。選び抜いた鶏肉を使った串焼きと、小野瀬憲一社長自ら産地へ出向き、買い付けた海鮮素材を使った料理を売り物にしている。木材を多用した、広々とした空間を持つ同店の席数は一五〇席。その内、四〇席が掘りごたつタイプとなっており、落ち着いた空間を提供している。

平均客単価は約二五〇〇円。平均月商は約二〇〇〇万円。昨年12月には、宴会需要が多かったことも追い風となり、二五〇〇万円を売上げた。宴会需要も多く、最大六〇人まで対応可能となっている。

選び抜いた鶏肉を使った串焼きを提供するための仕入れルート開拓への努力は、筑波山麓の養鶏場から「生で食べてもおいしい」(小野瀬社長)、高品質な朝絞めの鶏肉を、安く仕入れるルート開拓を可能とし、結城おいしい広場にオープンした「とり屋楽座」に、その仕入れルートと、おいしい串焼き作りの秘けつは、十二分に生かされている。

海鮮料理では、グランドメニューにのっていない、その日のおすすめも強い。「しめサバ、サザエの壷焼きと刺身、寒ブリなど、旬のものは小まめに入れ替えるようにしています」(稲葉木聖店長)。

人気料理は「串盛り」(八五〇円)、「大根のパリパリサラダ」(四八〇円)など。また、家族連れでの来店も多く、「大ネタにぎり盛合わせ」(二三五〇円)も、人気料理の一つ。

同店では、店で一夜干しも作り、提供している。一夜干しとしてポピュラーなのはサバ、ホッケなど。仕入れた朝、かごに入れ昼間天日で干し、その日の夜のメニューにはのせることができるようにしている。

火の国開店当初は「おいしい地鶏を楽しめる店」を店のコンセプトとしており、高品質の鶏肉を提供する店であることを、強くアピールしていた。しかし、経営する小野瀬フーズが水産会社であることもあり、オープン後三回目のグランドメニュー見直しで、刺身メニューの強化など、新鮮な旬の素材を使った海鮮料理を提供することも、前面に打ち出しはじめた。

小野瀬フーズが経営する和風FR「晤寶」(ごほう)三店舗とタイアップして、昨年10月から「北海道まつり」を実施。イクラ、タコなどを始めとして、小野瀬社長自ら北海道の水揚げ港に出向き、仕入れルートを開拓。新鮮な素材を使った「イクラ丼」(八九〇円)、「カニ丼」(一二五〇円)、「北海釜めし」(九八〇円)などが好評を得た。

「北海道まつりは、火の国にとっては、初の大きなフェア。今後も季節季節に応じて、フェアを打っていきたい」(稲葉店長)

現在の同店の課題はランチタイムの売上げアップ。「開店当初はランチタイムの設定はなく、ランチタイムは昨年1月から始めました。ただ、ランチタイムがまだ弱いと考えています。平日の昼間はサラリーマンの来店も多い。ランチ需要は必ずあるはずです。ここを、いかに売上げオンにつなげていくかが、一つの大きな課題でしょう」(稲葉店長)

同店では地酒の品ぞろえも充実している。地酒は四合びん売りを一〇アイテム、一合売りを九アイテム用意。アルコール売上げの内訳は約五割がビール、次いで地酒が約三割と、地酒の占めるウエートは高い。それでも、同店の全売上げに占めるアルコールの比率は約三割。「今後、郊外型居酒屋というよりは、家族で楽しめる『居食屋』といった方向に、店の位置付けを持っていきたい」と、稲葉店長は言う。

「何せ、当店でお出しする地鶏と海鮮素材の品質の高さには、他の追随を許さないだけの自信があります。飲むだけではなく、食のメニューも一層の充実を図り、小山おいしい広場の核店舗として成長させたい」と、小野瀬社長は火の国の今後に大きな期待をかける。

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