まかない味シュラン(31)中国料理「一閣」
客のほとんどが地元の人で占めるという、ベッドタウンの駅前ビルに入っている「中国料理 一閣」。上海料理をベースに、最近では広東料理も取り入れてたり、四季の旬にあった野菜と主材料を組み合わせたりして、リピーターを飽きさせないための努力は十二分。女性客が八割にのぼるため、骨付き料理など見た目にハードなものは避けているが、伝統料理も少しずつ増やしている。見た目のフォローは、接客で補っている。
新人一人が六人分を一日二回担当する。
「だいたいおかずは二品ですけど、特にテーマなんかはないです。ただ高い材料は使わないこと。豆腐や卵なんかの安い食材でも、アレンジすればおいしくできるということを学んでほしいんです。例えば、コンニャクでも、スライスして醤油で煮るだけでもおいしかったりするんで」
と、国分料理長。まかないメニューは前日、新人と料理長でミーティングをして組む。
「お金を出して食べてくれるお客さんは、おいしいかまずいか言ってくれません。来てくれるか二度と来ないかのどちらかです。だから、おいしいときはおいしい、おいしくないときはアドバイスして、つくる喜び、食べる喜びを感じてほしいんです。まかないはそういう場だと考えます」。
安くても高くても、おいしくなければリピーターがつかない。それだけに味にはいつも細心の注意を払う。失敗しないためにはいつも「平常心でいる」こと。
「白衣に着替えたら気持ちを切り替えるようにしています。もちろんスタッフにもそうしてもらっています。朝、出勤してみんなの目を見てあいさつする。声に張りがなくて、具合が悪そうだと判断すれば仕込みにまわってもらい、配置替えをします。普段でも自己管理はしっかりしてもらうように言っています。仕事しながら体調をなおすこつなんかも教えています」
リピーター客を大事にする心構えも、仕事のなかで学んでいる。
揚げ茄子のニンニクソースかけ
■作り方 ナスに切れ目を入れて揚げる。ニンニク、ショウガ、唐辛子のみじん切り、カキソース、砂糖、酢、ごま油、中国パセリの刻みを混ぜたソースをかける。
■ポイント たれができれば、すぐにできる。
鶏肉のピリ辛蒸し
■作り方 ニンジン、鶏肉、里芋、コンニャク、ネギ、タケノコ、フクロタケ、ジャガ芋をカキソース、醤油、砂糖、豆板醤、ごま油につけて、せいろで蒸す。
■ポイント 仕込みがすぐできる。
牛肉のステーキ・ソース炒め
■作り方 牛もも肉、トマト、玉ネギ、マイタケをステーキソースで炒めた。ブロッコリーは塩ゆでにする。
■ポイント お客用につくりおいているソースを使う。
中華風サラダ
■作り方 イクラ、中トロ、ラディッシュ、切り昆布を皿に盛り付ける。味ぽん、黒コショウ、すりおろした玉ネギ、サラダ油、ごま油、ラー油を混ぜたソースをかける。
■ポイント 安いマグロや牛肉でも応用できる。
カレイの唐揚げ・香味ソース
■作り方 マコガレイに片栗粉をして揚げる。醤油、砂糖、酢、サラダ油、パセリ、ショウガ、ネギのみじん切りを混ぜたソースをかける。
■ポイント マコガレイは安価。暇なとき八分通り火を通しておく。