で・き・る現場監督:てん高田馬場店・五十嵐英仁店長
てん天は天丼の専門チェーン店。天丼をベースにしたメニュー構成はいたってシンプル。
「商品は他のチェーン店と比べてもあまり変化がないと思います。大切なのは店の雰囲気。活気がなければおいしいものが出てくるようには思えませんよね」とは、この店を任されて三年目になる五十嵐店長。
「この高田馬場店は、元々FCでオープンしたんです。で、五年後にその店長が独立という形をとったのですが、経営が悪化してしまい、三年前にてん天の直営店にして、私が店長としてやっています」
任された店の印象は、活気がなくて暗い店。メニューを広げすぎていたのも原因だろうということでメニューを絞り、従業員への指導も徹底した。売上げは徐々に上がり、今は一番いい時期の売上げをキープしている。
「明るく元気に」をモットーとし、スタッフの教育に励むが、アルバイトは留学生が多いため、時には日本語のレクチャーもする。
「商品が運ばれる前に接客があります。第一声の『いらっしゃいませ』でおいしいものが食べられることを伝えられるように、言葉に意味を込めるように指導しています。留学生にはとにかく復唱して覚えてもらっています」
アルバイトの採用では、声の出せる人かどうかを見極め、ベテランスタッフには客を迎え入れる姿勢が崩れていないかをチェックし店の雰囲気づくりに努めている。逆にアルバイトスタッフのやりがいを知るためアンケート調査も行う。
「今ちょうどアンケートをとっている最中なんです。近ごろ店舗によって雇用制度なんかにズレが生じているようなので、それを統一するのが目的です。時給にプラスアルファの特典(交通費やまかないの支給)をつけるか、時給のみにして高い金額にするか、ならすと同じ金額でも、受け取るアルバイトさんにやる気が出る方がいいですから、アンケートを集計したら会議にかけて考えます」
毎日天ぷらを食べる人はまず、いない。週に一度「天ぷらを食べようかな」と思ったとき、「じゃあてん天に行こう」と客に思わせることが大切。
「天ぷらに関しては、まず素材である野菜は丸ごと仕入れて、店で切り分けています。衣も店でつくっているので、手づくりという面を出していけるといいと思っています。それでも味にブレが生じるのは困りますから、私の方で細かくチェックしています」
単一商品でマンネリ感を出さないよう、季節ごとにフェア商品を一品メニューに入れる。
「春にやった『とんぷら定食』は成功したと思います。豚ロースの天ぷらなんですが、一日の売上げの約一〇%を占めましたから」
売上げが安定してきた今、今のメニューをグレードアップしていくか、新規客に向けて新しい商品を出していくかが悩みの種。店自体が広告となって、「FC希望」が増えることを目標にしている。
◆(株)てん天/代表取締役=竹内義弘/創業=平成2年/本部所在地=東京都豊島区池袋二‐六一‐八、Tel03・3984・1110/資本金=一〇〇〇万円/店舗数=直営店五店舗、FC三店舗
◆てん天高田馬場店/所在地=東京都新宿区高田馬場三‐二‐五、ANビル一階、Tel03・3367・1010/店舗面積=二〇坪・一八席/従業員数=正社員一人、アルバイト一一人/客構成=一〇代~五〇代のサラリーマン・学生、男性九割/客単価=六五〇円/平均月商=五五〇~六〇〇万円
◆いがらし・えいじん(てん天高田馬場店店長)=昭和37年生まれの三六歳。埼玉県出身。喫茶店のフランチャイズ会社の経験を経て、(14)てん天を立ち上げる。現在は、一店舗でも多くFC加入が増えるよう、直営店の経営に磨きをかけている。夫人とお子さんの三人家族。休日はあまり休まず子供とのサッカーを楽しむ。それがストレス解消にもなっている。子供サッカーのコーチも務めるほどの実力。