飲食店の血液型対応学(9)O型
O型人間に悪い奴はいない。そしてO型ほど、いざという時頼りになる奴はいない。頼りにしたからといって、「借りがある」などと煩わしくまとわりつかず、「苦しい時はいつでも来い」と実にあっさりとしている。そのくせ義理人情も深く、「この恩は一生忘れない!」と忠誠を誓い実に義理堅いのである。
特に私たちA型人間のように、細かいことにとらわれて決断もできなければ、大胆に行動することもできない者にとって、O型人間の無謀ともみえるダイナミズムが、「すごい!」「素晴らしい!」と映る。
最初から、O型をかなり褒めすぎてしまったが、O型はこのくらい過剰に褒めないと、褒められたと感じないほど鈍感なところがあるから、O型を褒めるなら、褒め殺すくらいに褒めないと駄目なのである。
さて話を戻すと、以上のような行動特性からO型人間は英雄やヒーローとなりやすい。しかし、わが国の血液型社会環境はこうしたダイナミックなO型にとって、決して居心地の良いものではない。A型が一番多いわが国の社会は、やれ書類で決済しろ、印鑑を押せ、細かいことまで報告しろ、細かいマニュアルですべてが決まっているような、ち密で息の詰まるような管理社会が形成されている。
こうした管理優先の社会環境は、わが国の大企業・官僚組織に一様にまん延し、現在では日本経済の成長を遅らせ行き詰まりの主要な原因をかたちづくっている。自由闊達で前向きでプラス指向のO型は、こうした管理・管理の社会環境になじまず、そうした環境下でO型は本来持っている力を発揮することはできない。むしろ戦国時代のような、混乱し統制の取れない混とんとした社会の方が、O型にとっては住みごこちの良い社会なのである。
長島選手とともに巨人軍最高の選手といえば、王貞治選手である。王さんは典型的なO型である。前人未踏の、八六八本のホームランを放った本物のスーパーヒーローだ。大リーグのホームランバッター、マグワイア選手でさえ、通算五〇〇本を打つのがやっとという状態を考えると、この王さんの記録がどれほどすごいものであるかが分かろうというもの。
記録に挑戦する王さんのそのひたむきな姿に、人々は感動し勇気づけられてきたのである。その国民的英雄王さんは、現在パリーグ球団「ダイエーホークス」の監督である。がしかし、王さんの監督就任以来、チームはほとんど最下位であった。
「やっぱり、名選手、名監督にあらずだよね!」などと新橋の焼き鳥屋でぼやいてるサラリーマン諸君、では今年のダイエーはどうか? シーズン当初から、ずーっと首位をキープしているではないか。チュウハイのお代わりをする前に、この疑問を解き明かしてみようではないか。
これは大胆な推測ではあるが、親会社のスーパーダイエーの不振と非常に密接な関係があると思われる。ダイエーは、二兆円近い借金を背負っている。そのため、大規模なリストラが内部で進行中。当然、球団も存亡の検討がなされ、無駄な職員や無駄な部署、経費も大きく削減されたに違いない。
組織もスリムになり、権限もおろされ、ある程度のことは現場で決められるようになる。つまり、硬直した管理優先の大企業ダイエーの一部署であった組織が、監督が社長の中小企業に変身したのだ。こうなると、O型は自由気ままにその本領を発揮し出す。
今までは、野球を知らないフロント職員がのさばっていたが、それはもういない。経費は使えないし予算もないが、O型はそんなことには無とんちゃく。自由にできれば大いにやる気が出るのがO型。それが、チームを盛り上げているのではないだろうか。
つまり今のダイエーの躍進は、選手がガンガン打っているわけでも(打率一〇傑中、四位に城島、一〇位に松中、そして本塁打では一〇位、一一位と全然目立たない)、すごい投手が投げ切っているわけでもない。パリーグの投手といえば、西武の松坂投手が話題であるが、ダイエーはほとんど話題にならない。
では首位を走り続けるその秘密は何か? 考えられるのは、リストラで管理という抑えが取れたO型王監督が、結構好き放題に自由にやっているからなのである。とこれはあくまで、詮索好きな筆者(A型)の勝手な推測である。
O型の特徴は、別表のようなものである。
O型店長は、一般的に情熱の人である。だから自分がもしその部下なら、店長の理想や目標に同調し賛同の意を、多少大げさに表現すると非常に喜ぶ。
例えば、「わが店が、売上げNo.1を達成するという店長の目標に、自分は大いに賛同し一生懸命頑張ります。なにしろわれわれは、店長を“男にする”ために仕事をしていますからネ」と言われると、O型店長は「そうかそうか、お前らも頑張ってるな」と満足してくれる。
ところが万が一、No.1になれなくても大丈夫。O型店長はすぐに視点を変えて、違う方面で頑張りまくるからすごいのである。
あるファミリーレストランチェーンで、高崎店が大苦戦をしたことがあった。その時の店長は、典型的なO型のY店長である。「Y店長は大ざっぱだから、業績が上がらないんだ」などと陰口がたたかれた。時はおりしも12月のクリスマス商戦。この営業の不振を高崎店は、クリスマスケーキの受注で例年の三倍という注文数を稼ぎ、全店No.1に輝くのである。
クリスマスケーキの注文なんて、営業が忙しくてかまっちゃいられないというのが各店長の本音である。しかし、この高崎店Y店長は、そこに目をつけた。「どうせ客が入らないなら、午後は店を閉めてでもケーキの営業に歩こう!」と従業員を叱咤激励し、一気に例年の三倍というすごい数字を勝ち取ったのである。
本部でも各店がまじめにケーキを売らないのに業を煮やしていた時なので、この高崎店の快挙は大いに賞賛され、新年の店長会議でY店長は異例の表彰を受けた。「高崎店を見習え!」と社長の激が飛んだのであった。
しかし、O型店長は頼りになる人であると同時に、つきにも恵まれた人である。と、またO型を褒めちぎっちゃったネ。
(血液型対応学研究所・エービー海老尾)