お店招待席 欧風カレー「ボンディ」 フルーティーな香りが魅力
村田商事㈱(本社‐東京・神田神保町)の経営。創業一五年になるカレー専門店で、この神保町本店に加え他に直営支店一店とFC六店の計八店舗をチェーン化している。カレーといえば、インドカレーをイメージするが、この店のカレーは「欧風カレー」といい、仏料理的な雰囲気をアピールしている。
レシピーについてはあとで記述するが、材料に野菜、果物を多用しているので、まろやかな中にスパイシーなテーストという感じを受ける。このため、女性客にも人気があり、今ではサラリーマン、OL、学生と多様で、固定客が七割前後にも及んでいる。
場所は神田神保町、靖国通りに面した古書センター二階。店はビルの奥まった位置にあり、表からのアプローチはスムーズではない。むしろ、店は裏通りに面した出店形態になっており、決して“ベストロケーション”とはいえない出店環境である。
店舗面積約二〇坪、客席数四〇席、店の造作、雰囲気はカレー専門店というよりも、シックな仏レストランという趣であるが、カレー一筋に独自の集客力を発揮している。
カレーソースの作り方は企業ヒミツであるが、大まかには玉ネギ、セロリ、ニンジンなどの野菜を煮込んで作ったスープに、リンゴ、モモ、バナナなどの果物のペーストを加えてベースを作り、これを別途に作った野菜ソースと牛肉(肩ロース)のブイヨンを合わせて、最後に、独自に調製したカレー粉とマサラ、ホワイトペッパー、ガーリックなど何種類ものスパイス、さらにはミルク、バターなど乳製品を投入して、何時間も煮込んで完成させる。
それぞれの下ごしらえに多くの時間を要し、準備から製品の完成までに三日間はかかる。手間ヒマのかかるこだわりのカレーという訳であるが、それだけに製品づくりには強い自信を持っている。
七、八年前までは、ソースづくりは店舗でおこなっていたが、FC展開を進めるに当りセントラルキッチン(CK)が必要と考え、現在は埼玉県和光市白子にある専用工場で作り、各店に配送するという分業体制を採っている。
「出店コストの高騰で、チェーン展開は思うようには行っていませんが、CKについては十分に供給能力があり、首都圏ならどこにでもデリバリーが可能です。CKの最大のメリットは、まとめて作りますのでコストダウンがはかれること、ある程度の製品をストックしておくことができるということ、また、店での調理が簡単になるということです」(村田商事・専務取締役(CK担当)村田収氏)。
CKの生産能力は一日二〇〇〇食以上で、各店舗への製品供給はスチール製のポットでおこなう。ワンポット六〇食分のキャパシティで、店からの注文に応じて何本でも配送する。デリバリーは専門の業者を通じて実施している。
メニューはビーフ、ポーク、エビ、チキン、アサリ(各一三五〇円)ミックスカレー(一五〇〇円)などで、一般のカレーショップに比べ値段はやや高いが、前記のとおり、商品の内容には自信があるので、客もリーズナブルなメニュー単価と理解している。
「店の周辺にも何店かのカレーショップがあるんですが、神保町界隈に来たついでにということで、わざわざ立寄って下さるお客様も多いんです。それと、味作りについては天候とかタイミングもありますから、味を安定させるためには店段階においても多少の調製はしているんです」(村田商事・営業部長(店舗担当)浅野剛史氏)。
ルーの味を安定させるには、CKからきたカレーソースを全部使い切らないで一、二割ほど残して、新しいものをプラスしていった方が、味の深味が出るし、よりおいしさが増すのだという。焼鳥のタレと同じ考え方である。
よく出るメニューは、チーズカレー(一三五〇円)、エビカレー(一三五〇円)など。商品には甘、中辛、辛と三つのランクがあるが、六割が中辛だという。客単価は昼一三五〇円、夜はアルコールが伴うので一七〇〇~二〇〇〇円前後。店の運営スタッフは厨房三人、ホール三人の計六名。一日の売上げ三〇万円。原価率三五%
なお、FC店は板橋二店、東村山、川越、佐倉、厚木の六店舗で、この加入条件は物件所有者で経営に意欲のある人、加盟金一五〇万円、保証金五〇万円、三年契約で、立地は首都圏の都市部でロードサイドや駅前商店街などとなっている。
・住 所 東京都千代田区神田神保町二‐三、神田
古書センター二階
・電 話 03・3264・8320
・営業時間 午前11時~午後9時(日曜休み)
(しま・こうたつ)