ここだけの業界ネタ:異色”動物レストラン”
マスコミには一切出ないが、地元福島県で知らない人はいないというぐらい人気の繁盛店がある。
いわき市を拠点に、福島、茨城、宮城、沖縄に現在一六店舗を展開する「メヒコ」は、店内に猿やフラミンゴがいる異色の動物レストランだ。
一店舗当たりの一日の売上高は推定二〇〇万円。カニやエビを使ったメニューが中心だが、中でも「カニピラフ」(小一六五〇円)は、来店客が必ず注文するというヒット商品で、土産用の折り詰めも用意されている。
食事どきは行列ができ、三〇分から一時間は待つ覚悟が必要だ。宣伝していないのにもかかわらず、口コミから地元客はもとより観光バスも乗り付けるようになった。
観光客は土産も購入するため、ドライブイン的な利用も、同店の売上げを押し上げる一因となっているようだ。
創業者はもと網元で、海産物については専門家。加えて夫婦そろっての動物好きが講じて、動物を眺めながら食事ができるという大胆な発想から店をつくった。
店舗ごとにフラミンゴや猿、水族館といったテーマがあり、客席からガラスごしにこれらの動物を間近に眺めることができる。
また婦人が趣味から始めて自営の農場で栽培したランも、店内で販売されている。
カニピラフに使用している本ズワイガニは、アラスカ産を漁期の間、船を一そう借り切ってとったもの。タラバガニ、毛ガニ、エビなども独自のルートで仕入れている。
単価は決して安くないが、具はたっぷりで、コストパフォーマンスはかなり高い。原価コストは四二~四五%ぐらいではないかと思う。
コメは冷めても粘りがあっておいしい福島産のササニシキ。毛ガニもかつてはいわき市で水揚げされていたもので、オーナーは徹底して地元の産物を追求したのだろう。
オーナー夫婦の趣味と自由な発想、地元産へのこだわりから生まれた店が当たった。我流を通し、マスコミの取材には一切応じない。福島、茨城以外に仙台にも出店したが、おそらく土地勘のあるところしか今後も出さないだろう。
またメヒコの良さもそこにある。地元の人の飾らないフレンドリーな接客に好感が持てる。最近売上げにばかり業界がきゅうきゅうとする中で、そうしたことを超越した世界がそこにある。
いつも満席の店内だが、内装はお世辞にもしゃれているとはいえず、まさに商品力で勝負しているといえるだろう。
商品開発のポイントには、素材型、料理型、雰囲気型などあるが、いま強いのは素材型。強力なメニューを一品持っているところ、特化したものを追求したところが長続きするのではないかと思う。(永嶋万州彦)













