外食産業1999年の総括:OGMコンサルティング・榊芳生社長に聞く
今年はいまだかつてない消費不振に見舞われ、成長神話が完全に崩壊したということを思い知らされた一年だった。
大手は四、五年前からそのことを察し、なりふり構わず客数増に努力してきた。OGMの会員は、差別化に務めてきたので一気に落ちるということはなかったが、それでも4月ぐらいから落ちはじめた店が増え、四〇%ぐらいが落としている。業界全体でみれば、七〇%近い店が売上げを落としているのではないかと思う。
中でも早く提供する、安く売るというシステムの業態店の客離れがひどい。やはり飲食店本来のおいしくて感じがいい店が共鳴を得ている。
いまは時代の変わり目ではないかと思う。これからは専門店の時代だ。専門店といっても、高級店ではなく、ファミリーレストランレベルの大衆店よりちょっとアッパーな価格帯の店。
お客さんはバリューを見分けるのがうまくなった。おいしくても価格が高く、手間のためにお客を待たせるという考えは、もう通用しない。中途半端な手間ひまなかけ方では、そうした専門店にお客さんは行かない。リーズナブルな価格で提供するための新しい方策が専門店に求められてくるだろう。
それは、今まで安く売るシステムにたけている業態店の科学の力を専門店に持ち込むことで、これが最近言いはじめている専門業態店ということだ。
OGMの会員が展開しているトンカツ専門店、ラーメン屋、焼き肉店など、専門店の顔をして業態店の価格の力を持ち込んだ店の伸びが、ここ一年で顕著になっている。これからはそういう時代が来る。
とくに今年、出店が多かったのは、焼き肉店とラーメン屋だが、面白いのは多国籍居酒屋。一〇年前も一時はやったが、あれはちょっと珍しい料理を並べましたという無国籍料理だった。→
→米国ではいま、「リムパック料理」という環太平洋中の食材を集めて、米国風にアレンジした料理が西海岸を中心にはやっている。日本でもこれから間違いなく、和食、中華、韓国など専門店が伸びていく一方、その垣根を越えた新しいタイプの居酒屋や食事処が生まれてくるのではないか。
ラーメン屋は、もともとむかしのしなそば屋が、チェーンストアのシステムを取り入れラーメンショップに変わっていったもの。女性も家族客も安心して行けるラーメン屋になったが、ファミリーレストランと一緒で、何の変哲もないラーメンしか出てこない。
だからもう一度、原点回帰して、当時のしなそば屋のような手作りのおいしいラーメンを売ったところが当たった。
かつてはファストフード的な位置づけだったが、いまは料理として売れはじめた。だから生ビールの施設を入れたり、つまみに鉄鍋餃子や唐揚げなどを手作りしているラーメン屋がはやっている。その差を、お客さんが分かってくれる時代になった。
焼き肉屋は、これまで安いホルモンか、接待やハレの場しか使えない高級店しかなかった。それがいまは客単価が二〇〇〇~三〇〇〇円の家族連れが行ける焼き肉屋が台頭しはじめた。家族が一万円そこそこでお腹がいっぱいになれる。
イタリアンも二〇〇〇円前後でスパゲティとピザが楽しめる。ピザは炭火で目の前で焼くというように専門化している。しかしそれは一昔前の専門化ではない。いずれも業態店が持っているノウハウや科学の力をうまく取り入れて専門化した。
業態を圧縮させた専門店には必ず修練がある。コンセプトというのは七年、一〇年の間に大きな流れで動きながら進んでいく。これが絶対という真理はない。大手チェーンが陥っているのは、それが真理だと思いこんでいることだ。中小はそう思わないから変革できる。
米国を見れば分かる。ファストフード、ファミリーレストランが主流の時代は終焉した。そしてファミリーダイニングやリムパック料理店など一五~三〇ドルぐらいの店がすごく元気だ。そのほとんどの店が、クローズではなくオープンキッチンになっていて、プロが鍋をふるう姿を見て安心できる。
同じことが日本でも起こると思っている。クローズドキッチンで安い人件費でやればやるほどアンチテーゼが出る。
ナショナルチェーンができることは、さらに安く売ることだろう。だから行き着くところは見えているが、止めることはできないだろう。
それを、われわれローカルは反面教師にして、否定するのではなく、彼らの良いところを謙虚に学びながら取り入れ、新しい時代の専門業態店をつくっていく。














