うまいぞ!地の野菜(21)奈良県、都市近郊立地で園芸作物が主力
奈良県は近畿地方の中央よりやや南に位置し、京都府、大阪府、和歌山県、三重県に接した内陸県である。
県土は南北約九〇㎞、東西約四〇㎞の長方形。南半分は近畿の尾根といわれる紀伊山地。日本有数の多雨地帯だが耕地は少なく、林業の不振で過疎化が進んでいる。
北西部は、大和高原と呼ばれる標高三〇〇~五〇〇mの中山間地域で、大和高原と金剛生駒山脈にはさまれた奈良盆地。大和平野地域とも呼ばれ、県の産業・経済の中心地である。
大和平野地域の気象は年平均気温一四・四度C、降水量一三五五㎜。盆地のため夏と冬の温度差が大きい。
太平洋側の気候地帯に属しているが、冬季は曇天がちで日照時間が少ない。雨量も少なく、古くからかんがい用ため池が築造されている。
県土面積は三六九一ヘクタール、耕地面積は二万五四〇〇ヘクタール。うち水田が七二%で一万八二〇〇ヘクタール、畑が七一三〇ha。
県人口は一四四万四〇〇〇人。農家戸数は三万四三三〇戸、農業人口は一〇万七五三〇人。
農業粗生産額は六〇八億円。野菜、果樹、花卉の園芸作物が約半分の二九八億円、うち野菜が二八%で一七二億円を占める。水稲のシェア低下を園芸作物が補っている、というのが現状である。
耕地面積少なく山地が多い。そのため、転換作物の大和スイカ、イチゴ、トマト、ホウレンソウなど、都市近郊の立地条件を生かした園芸作物や畜産などの特徴ある農業が行われている。