この食材でこの1品 タイソーセージ 特有のスパイスとパクチー

1993.01.18 20号 24面

ブームもひととおり落ち着いて、本格的に日本に定着し始めたタイ料理。もう珍しいだけではダメ。いまいちどタイへグルメ旅行をしてみよう。ホテルのレストランだけではなく、勇気を出して土地の人たちがいく食堂に出かけてみたら、きっと、知的な研修旅行になるはずだ。

タイで大都市といえば、首都バンコクだ。ここには華僑系の人びとがタイ人と溶け合って暮らしている。タイの外食は、タイ料理と中国料理が主流である。湖州、広東、海南島、四川、上海、北京料理などの看板を掲げた店のメニューは、すべて中国料理だが、大きなタイ料理店のメニューはタイ、中国、西洋、日本料理の混交である。

首都バンコクは、コーヒー屋、屋台、露店、行商人、麺類やカレーなど決まった料理を出す店、野菜や果物を売る店などあらゆる店がある。屋台の飲食店は市内の至るところにあり、庶民の重要な食事の場となっている。夕闇が迫るころ、路傍の食堂街には、いろいろな店が開店する。カレー屋のおばさんはタイ人。そば屋のおやじさんは中国人といった具合で、ここでは国境はない。ずらりと並んだ、この店のどこかに腰をおろして何を注文してもよい。

食べものは、どこからか運ばれ、店同士で清算が行われる。持ち帰りたい人には、バナナの葉で包んだり、ポリ袋に入れてゴムひもでぶら下げてくれる。華僑の労をいとわぬ商法は、客が必要とするものを、必要なだけ、即座に、しかも自分で作るよりも安い値段で提供する。このことが、タイ人の外食依存を高めた最大の理由である。外食することにかけては、タイ人は日本人の先輩である。最近では、弁当を軽トラックに積み家庭に配達して回る宅配弁当屋の進出もめざましい。団体旅行者用に箱入りランチも届けてくれる。パーティーが好きな上流階級の人びとのためには、電話一本で二〇〇~三〇〇人のパーティー一式を出前する商売も増えている。当日になると中華料理店のトラックがボーイ、コック、椅子、テーブル、食器、材料など一切合財を積んできて、手際よくお膳立てしてくれる。

精巧なカービンをほどこした果物や、珍味の並ぶレストランのディナーは後回しにしてもいいほど屋台の食べ物はおいしく、そしておもしろい。店先で自由に選べる各種のゲーン、トム・ヤム・クン(有名な辛いエビのスープ)、大きな鍋で豪快につくるカウ・パット(炊めご飯)、カキの入ったホイ・コー・トー(お好み焼き)、魚のすり身だんごや鶏肉など好きな具を入れたバーミー(ラーメン)、やクィッティアオ(きしめん)などの麺類、ヤム・ヌア(辛い牛肉のサラダ)など。これらはどれもタイ特有のスパイスとパクチー(香菜)が効いてるポピュラーな食べもの。

バンコクの街を訪れたときに是非とも試してみたいメニュー。

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