宅配中華特集:チャイナクイック「ロイヤルフーズ」高桑雅彦社長に聞く
‐‐宅配中華の市場性と御社の戦略について。
高桑 街の中華屋の大半が家族経営のため後継者がいないという問題を抱えている中、中華料理に対する需要は根強い。このすき間を突いてマーケットは伸びるだろう。また本格的な中華料理をデリバリーする業態がまだない。われわれの考えているレベルは、中華街の味だ。現在うちの日本人の料理人のうち半分以上がホテルの出身者。われわれはあくまで手作りの本物志向にこだわっていく。
‐‐FC展開の構想は。
高桑 基本的にはすべて直営でやる方針だ。日本人の料理人に、店を経営してもらう制度をこれから作っていき、彼らが夢を持って働けるスタンスを、われわれはフォローしていく。
ホテル出身のコックは、計数が分かるのでマネジメントもできる。あとは教育のプロがモチベーションを高める。給料は評価方式を採用し、基本給プラス業績給で最大五〇万円ぐらい取れる仕組みだ。実際に彼らは研修の段階から目の色が変わり、マネジメントにも積極的になっている。
アルバイトでも確かに鍋はふれるが、やはり本物の料理人が真の実力とやる気を持って自分の店の利益を上げようと思えば、これに勝るものはないだろう。
‐‐社員教育について。
高桑 企業は文化。給料はお客さんからもらっているという教育と文化を植え付けないと、チェーン展開はできない。
役員を筆頭に、料理人を含めた社員全員が毎日チラシを配る。清掃も全員で行うが、そこから生まれるものは言葉ではない。一緒にやっているという気持ちになる。こうした家庭的な一致団結もわが社の強みだ。
またストアービジテーションレポートなど、具体的な人事評価システムも採り入れている。
‐‐店舗の反響はどうか。
高桑 都内は企業の注文がたいへん多く、リピート率も八割近い。それに伴い商圏も狭まっており、3月にオープンした銀座店の商圏は一㎞未満。今後のスタイルとして商圏一・三㎞、売上げ八〇〇万~九〇〇万円のひな形を描いている。
‐‐ビジネス街が出店の中心になるのか。
高桑 今度展開する店舗のフォーマットは、三つの形態になるだろう。(1)丸の内など企業の多いビジネス街(2)企業と住宅の混在地区(3)郊外の住宅街。
意識しているのは、人時生産高。恵比寿店が一番生産性が高い理由は、ランチの売上げと、テークアウトの比率が高いためだ。都心型の店は地代が高くても、表通りのガラス張りの店でテークアウトの比率を高める。デリバリー業態にありがちな中が見えない工場のような店は、お客の信用を得る意味でもつくらない。
‐‐中長期的な計画は。
高桑 東京都内で三五店舗が当面の目標。企業向け店舗のノウハウはできたが、売上げが五〇〇万~六〇〇万の郊外店のシステム確立が今後の研究課題だ。
年内に一五店舗を出店するので、目標は三年以内に達成できると思う。全国展開ではなく、収益性の高い都内で勝つデリバリー業をイメージしている。まず都内の三五店舗をきちっとつくって、オンリーワンになる。
‐‐アメリカンテーストのイメージ戦略はどうか。
高桑 米国の映画に、紙のパッケージに入ったチャイナフーズを食べるシーンがよく登場する。この容器は日本人に受けると思った。チラシを見た人に一見中華に見えないことで、関心を持ってもらえるきっかけにもなるだろう。
‐‐価格政策について。
高桑 半年後に商品単価を二割落とす。現在の注文頻度は月一、二回だが、値下げによって注文が増えることは間違いないだろう。
メニューは4月から、八ページの小冊子で一〇〇品目を提供している。開発には料理人が企画から携わり、ABC評価で売れ筋を残していくため、もうからない商品はない。フードコストとレイバーコストの合計は通常は六〇%ぐらいだが、それが半年で四〇%まで下げられるだろう。
◆チャイナクイック=従業員のホスピタリティーサービスを売り物とする新興の宅配中華料理チェーン。宅配中華の先駆「上海エクスプレス」フランチャイジーの一翼として事業展開してきたが、ネット活用路線の本部方針と合わずに独立。人材育成を重視する独自路線で現在のチェーンを始動。「東京ローカル」を掲げ直営ドミナント出店を推進。宅配とテークアウトの大型路面店戦略を基軸に一店舗月商一〇〇〇万円以上の高収益展開を目指す。
◆(株)ロイヤルフーズ(東京都豊島区東池袋一‐二〇‐二、ホワイトハウスビル九階、03・5952・6331)設立=平成9年8月/店舗数=九店舗(全店直営)/事業内容=中華料理の宅配サービス