めざすは一流MISS料理人:中国料理「川菜味」料理長・深谷桃子さん

2000.07.03 207号 10面

席数三六。花を飾ったしゃれた内装と本格中華の実力で女性客を引きつける中国料理「川菜味」は昨年12月のオープン。オーナーシェフである蓑島誠氏が四川飯店(船橋ららぽーと店)から独立し、同じ店にいた深谷さんを料理長として抜擢した。

「四川飯店にいたころと、やることはほとんど同じです。ただ、お客様から『この料理は何でできているの』『料理法は?』と尋ねられ、直接お客様と接することは多くなりましたね」

下を教え、厨房全体に目配りし、なおかつ客との応対と、フル回転の日々。もちろん料理はすべてこなす。

「以前は得意分野だった点心が好きだと思っていたんですが、ひととおりできるようになると、逆にどんな料理も好きになりますね」

この、何でもできるという境地まで、約五年。ここ二年で「腕があがった」と自分でも感じられるようになったという。

料理好きで、高校卒業後、地元福島県の調理師学校へ進み、はじめは和食をやろうと思っていた。ところが実習で入った四川飯店で中華の豪快さに魅せられて、卒業後、学校の特別講師だった箕島氏のいる四川飯店へ。

「入った当時は女性は私だけでしたが、周りがいい人たちばかりだったので続けてこられたんです」

もっとも「やめたい」と思ったこともあったという。「仕事は好きですが、ずっと同じことをするのに飽きてしまって」(笑)

しかし料理に飽きたときの最大のリフレッシュ法もまた、料理ということに気づいてしまう。

「四川飯店からこちらへ移る前、二~三ヵ月ほど間がありました。そのときに知り合いのやっている洋風居酒屋で手伝いをしたんです。カクテルを作ったり、料理を作り、お客様にお出ししたり。これはすごく新鮮な体験で、楽しかったです」

一番うれしいのは「料理が完成した瞬間」という深谷さん。料理長としてのこれからが、楽しみな人である。

◆ふかや・ももこ=一九七三年福島県生まれ。姉二人、兄一人の末っ子。山菜好きのお父さんは、料理のうまい桃子さんに、自宅で山菜の店をやらせたいと考えていたという。「さすがに福島に戻る気はないですね」と笑う桃子さん。ただし帰省の際には豚の角煮など必ず中華の腕をふるう。お父さんはそれを近所に大盤振るまいした後、大事に冷凍庫にしまい、少しずつ酒のつまみにしているとか。

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