全国ピザ・パスタ繁盛店特集:広島「ファンダンゴ」

2000.07.17 208号 13面

尾道市内の洋食店で働きながら、ミュージシャンや地元ラジオ局のパーソナリティーとしても活躍していた異色の経歴を持つ青山オーナー。そんな青山氏がイタリア料理と出合ったのは一一年前のことだった。

尾道市で、イタリアからピザ職人を招き、尾道の人に本場のピザを振る舞うというイベントが行われた。ナポリ出身のピザ職人・ジュセッペ氏が来日し、一ヵ月ほど尾道に滞在することになるのだが、この時ボランティアとして青山氏もイベントをサポートしていた。

「ジュセッペさんの気さくな人柄に引かれましてね。僕自身も麺類が大好きだったから、ピッツァとパスタの店をつくることを決意しました。わずか一ヵ月の出会いだったんですけど、僕と同じように、これがきっかけでイタリア料理店を出店したのが三人。おまけに、今はイタリアに住んでる人も一人いるほどなんですよ」(笑)

それから四年後に現在の「ファンダンゴ」を尾道市にオープン。今では隣の福山市で二店舗目も営業している。尾道には観光客も多く訪れるが、「地元の人に愛されるお店に」が彼のモットー。結果的に口コミで観光客の利用も多いようだが、地元のリピーターによって支えられている店だ。

食材も「なるべく地元のものを」と、シャコやアナゴ、タコといった、尾道ならではの魚介を使ったピッツァやパスタが主力メニューとなっている。

夏の新メニューとして登場するのが「旬のアナゴと地ダコのピッツァ」(一二〇〇円)。アナゴとタコを一度炒めてうまみを閉じこめる。ふっくらとしたアナゴとコリコリしたタコ、そしてセロリのシャキシャキ感。弾力の強いナポリ風の生地に包んで食べると、セロリのさわやかな香りとともに、アナゴとタコのうまみが口の中に広がる。

冬には地物のシャコを使ったピッツァが好評。ナポリ生まれの尾道育ち、そんな新しいピッツァのスタイルが、この街で芽生えつつある。

●売れ筋メニュー

〈一位〉生ウニのクリームソース・タリアテッレ(一二五〇円)

〈二位〉地アナゴとセロリのペペロンチーノ(一一〇〇円)

〈三位〉マグロのたたきサラダ仕立て(六〇〇円)

●店舗メモ

◆「ファンダンゴ」(広島県尾道市新浜一‐二‐一七、0848・23・7272)店主=青山一発/営業時間=午前11時~午後3時、5時30分~10時30分(ラストオーダー)、月曜定休/駐車場=四〇台/坪数・席数=三〇坪・五八席/平均客単価=二五〇〇円/オープン日=平成5年4月

●私の愛用食材

広島ではあまりお目にかかれないイタリア製のエスプレッソコーヒー、PERA。まろやかな口当たりで、後味はすっきりしている。香ばしい豆の香りが鼻をくすぐる感じもいい。

もちろん食後の一杯としても評判だが、このエスプレッソを使ったデザート「ジェラート・コン・カフェ」(四五〇円)が常連客の間で好評だとか。自家製のジェラートの入ったグラスにエスプレッソコーヒーを注いで、混ぜながら食べるというもの。

「なるべく地元産の材料を」という青山オーナーらしく、ジェラートを作る牛乳は、すぐ近くの酪農家が生産したものを使う。濃厚でコクのあるジェラートがエスプレッソに溶け出し、深みのある甘さを楽しませてくれる。一言でいえば「ぜいたくなコーヒー牛乳」といったところか。

ベースとなるコーヒーがすっきりとしているので、食後感もさっぱりとしている。

「あまり宣伝はしてないんですけど、口コミで広まって、今では人気メニューの一つです」と青山オーナー。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら