ヒット食材パワーの徹底検証:かどや製油「銀印純正ごま油」

2000.10.02 213号 23面

外食市場の活性化に貢献した業務用加工食品の功績を記念表彰する「業務用加工食品ヒット賞」は、本紙創刊五周年を契機に各関係団体協力のもと創設された。これまでに「和食」「洋食」「中華」「給食」の四部門で計四八製品が受賞に輝いている。これらの製品は、昨今の消費低迷のなかでも元気いっぱいだ。ではヒットの要因は何なのか。このシリーズでは、受賞ヒット製品の開発コンセプトと成功要因を徹底検証する。今回は、中華部門で受賞した「銀印純正ごま油」(かどや製油(株))。

かどや製油(株)は創業一四〇余年の伝統を誇る「ごま油」専業メーカーであり、ごまの持つ優れた成分や健康食品としての付加価値にいちはやく注目し、高品質のごま油を大量生産できる技術を開発した最大手でもある。

ごまは、古くから肝機能を改善するなどの効能を持ち健康に良いとされてきたが、近年の健康志向のなかでその良さが見直されて、ブームとも言える現象が起こっている。そうしたなかで、同社の業務用主力商品である「銀印純正ごま油」はユーザー需要の拡大とともに顕著な伸びを示している。

同製品は、厳選したごまを香ばしく煎り、苦み、渋みを出さずに搾油。「昔、熟練した職人がやっていた焙煎技術をそのままオートメーション化した」という同社の伝統的技術によって、ごま特有の芳醇な香り豊かな製品に仕上がっている。

ごまの味と風味が肉の臭みを消すことや、たれの決め手になることから、中華料理店はもちろん焼き肉料理店でも重宝されている。特に最近の韓国朝鮮料理のブームの盛り上がりとともに需要はうなぎ上りという。

さらに輸入大豆の問題やごま油自体の評価の見直しのなかで、中華料理、惣菜、弁当店でのごま油の業務用の需要が増えているのも追い風になっている。

業務用ごま油は「銀印」が濃口、淡口の二種。マイルドに仕上げた「金印」が濃口、淡口、淡白(たんぱく)の三種、また厳選したごまを生のまま搾油した「純白ごま油」などのアイテムがある。軽やかで上品な風味の「純白ごま油」は甘みがあり、高級割烹での天ぷらやドレッシング用として最近注目度が高いという。

家庭用には、スタイリッシュなびんですっかりおなじみの同社のごま油。販売比率は家庭用と業務用が五対五。昨年度は全体で対前年比八・四%の伸びを記録している。

荷姿は一六・五㎏の一斗缶のほか、今年7月から一六五〇gのポリボトル(六本入り)や使用後の後始末が楽なバッグ・イン・ボックスタイプ(紙パック内にビニールを内蔵の一五㎏と八㎏)がある。

◆かどや製油(株)(東京都品川区五反田八‐二‐八、第一小澤ビル五階、03・3492・5545)

創業安政5年。香川県小豆島で加登屋製油所を創業。ごま油の製造販売を始める。昭和32年小澤物産(株)と共同出資で加登屋製油(株)を設立。昭和51年かどや製油株式会社に商号変更。小澤享社長の「風味があって香りが良く、それでいて嫌味のない創業時の味を守る」「将来、ごま油は調味料の一環として使われる時がくる」といった伝統に対する信念と先見性が今日を築く。資本金一七億二〇〇〇万円。売上高一六〇億四四〇〇万円。

◆「業務用加工食品ヒット賞」=日本食糧新聞社が外食レストラン新聞の創刊五周年を記念して新たに創設した表彰式典。表彰製品は、外食産業・流通産業の活性化と業務用加工食品の地位向上を目的に、五つの基準項目をもって選考する。(1)市場活性化に寄与した製品(2)販売増加に寄与した製品(3)所属分野のリーダー的製品(4)新規開拓に寄与した製品(5)年間行事とし和・洋・中・給食の各部門で三製品を選出する。

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