企業直営(FC)を拝見 ドトールコーヒー「ドトールコーヒーショップ」
ドトールコーヒー㈱(東京都港区芝浦、03・3456・2351)は、一二年前に、東京原宿に、一五〇円ドトール・コーヒーショップ一号店をオープンして以来、平成4年で三〇〇店舗を達成した。これを機会に、新マークを制定した。ドトールコーヒーショップとひと目でわかるシンプルなデザインとし「ファイネスト・クオリティ・コーヒー」という文字を入れた。
これは、来店客に最高品質のコーヒーを提供し続けるという固い決意を表わしている。この決意を実践するために、鳥羽博道社長は、毎週必ず船橋工場に行き、自分の目、舌で、コーヒーの品質チェックを行っている。また、朝一番のコーヒーもおいしく抽出できるように、コーヒーマシン洗浄剤も独自に開発している。これまでWMFで開発したものを使用していたが、どうしてもマシン内の脂肪分を除去しきれず、酸味が少し残ってしまいがちであった。これを解消するために一途に開発に取組んできた結果、ようやく完成した。
このように、ドトールコーヒーショップは、品質に深いこだわりをもっている。ショップ展開を実施する動機になったのは、鳥羽博道社長が、ヨーロッパを視察中、ドイツのチボーの店舗に立寄ったとき、日本にもこのような手軽に入店できるコーヒー店が出来ればというのが最初であった。
コーヒーは、空気も売る商売であり、コーヒー一杯の価格が一〇〇〇円であっても、飲用する客はいる。例えば、シティーホテルなどのコーヒー一杯は、七〇〇円~一〇〇〇円する。しかし、雰囲気、サービス面は満点であり、あまり客も抵抗なく払っている。一方で、ドトールコーヒーショップの一八〇円というのもあるわけで、コーヒーは、その場のロケーションによってどのようにもなる飲み物ということになる。
ドトールコーヒーの鳥羽社長は、「いろいろな店があって、しかも価格も自由で良い、肝心なことは、客が満足してくれることです」と語っている。
一二年前の喫茶店のコーヒー一杯の価格は、三〇〇円~三五〇円であった。同社の立ち飲みスタイルで、一五〇円コーヒーショップは、コーヒー業界に大きなインパクトを与えた。しかも、従来、喫茶店の売上げは、席数が一日何回転するかによって目途をつけていたが、同コーヒーショップの場合は、面で客をとらえた。つまり、一坪当り一時間何人きたかということになる。テークアウトが出来るために、店にとどまらなくても、来店して、コーヒーを持ち帰ってくれても売上げカウントになる。
最近のドトールコーヒーショップの店舗も大型になって、一〇〇席もある店も出現しているが、当初は、一五坪前後の少さな店舗で既存の喫茶店の倍以上の売上げが可能ということでスタート、これが大成功してきたわけである。
それだけに、最初の頃は、喫茶業界に大きな反響を与え、また、客も一五〇円でコーヒーが飲めるということで大きな話題を提供した。しかも、いままでの喫茶店が今後どのように経営していけばよいか再考の時代に入ったともいえる。サービス面で大部分の喫茶店が遅れをとっていただけに、喫茶が今後どのように立ち直っていくか大いに注目される時代に入ったともいえる。