めざすは一流MISS料理人:「シルスマリア」製造販売スタッフ・服部加奈子さん

2001.01.15 220号 25面

「昔は特別な日のごちそうだったのが、いまや日常食になったケーキ。その分お客様の選ぶ目は厳しくなっていると思います」。街を少し歩けばケーキ屋にぶつかる。ケーキ店自体が過当競争の時代に入っている。「だからこそその店ならではの個性と、接客を含めたサービスが大事」と服部さんは考える。

昨年9月末、小田原(鴨宮)にロビンソン百貨店がオープン。食品フロアにシルスマリア直営店が入った。販売カウンターに隣接するオープンキッチンで、服部さんは仕上げやデコレーションを担当する。

「うちは生チョコで知られていることもあり、男性客も多いんですよ。ケーキは甘さをおさえ、さっぱりした軽さが人気、一度に二個は食べられます」

ケーキ職人になろうと心に決めたのは幼稚園のとき。誕生日に母がケーキを焼いてくれた。

「スポンジは丸焦げだしクリームもパサパサ。でも手作りのケーキに感動して、卒園アルバムに『将来ケーキ屋さんになる』と書いたんです」

高校を卒業し、東京誠心調理師専門学校の製菓・製パンコース(二年制)へ。「地元では超有名な」シルスマリアに晴れて入社。ところが、人手の関係で一年近くは販売担当だった。

「このときは悩みました。でもお客様の要望や動向は接客することで初めてわかる。気持ちよく買っていただけるよう考えるようになり、かえってよかったと思っています」

「神経質につくれば神経質なケーキになり、いい加減につくればいい加減なケーキになってしまう」。ケーキづくりの不思議さをそう語る。

「だから一生懸命にならざるをえないですね」

専門校時代、ヨーロッパ研修に行った。

「チョコやパンはさすがにおいしかった。でも、ケーキは日本ならではのよさを実感したんです。見た目の素晴らしさ、おしゃれさはもちろん、例えばパイ皮がしめらないなど、細かいところまで気を遣ったおいしいケーキをつくりたいですね」

■料理人を目指す女性へのアドバイス

デコレーションやメッセージを描くなど基礎的なものは学生のうちに練習して身につけておきましょう。現場で練習する時間はありません。時間のあるうちに時間を有効につかってほしい。

◇プロフィル

◆はっとり・かなこ=昭和53年神奈川県生まれ。家族は両親と兄。休みの日は寝ているか、食べ歩き。「やさしくて、この仕事に理解のある彼氏」を募集中だそうだ。

◇シェフからひと言 オーナーシェフ・小林正和氏

うちは菓子職人の半数が女性ですが、仕事内容は厳しいです。将来を考えて入ってこないとまず続かない。面接時にもそう伝え、「それでもやる」という人を採用しますが、早い子は一ヵ月で辞めていきますね。服部さんはこれからですが、素直さと続ける根性で将来を切り開いていってほしい。

◇料理長のいちおし食材 カレボ(ベルギーのチョコ)

二〇年以上前になりますが、ベルギーのカレボが日本に入った当時から目をつけていました。大阪の老舗、前田商店から仕入れています。これで手作りのトリュフを十何種類かつくり、定番にした。生チョコのうまさを広めることができたと思っています。いまでは直営店四店、百貨店売り場六~七店のほか、バレンタインには四~五〇店舗に販売拡大中です。

◆スイス菓子「シルスマリア」=神奈川県平塚市龍城ヶ丘二‐三、0463・33・2181

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