こだわりご飯でお客を集める店:日本料理「分とく山」
「料理人の最近の傾向でしょうか、こだわりの食材と言いたてているが、ご飯も料理。料理をおいしくするのはやっぱり炊きたてのご飯」という野崎洋光料理長。
自らおいしいご飯を食べたい気持ちが高じ、野崎流のご飯炊き法を編み出した。
一釜一釜、料理の流れに合わせて炊き上げる。「肝心なのは炊こうという意識。ご飯に対する思いがあってこそできること」と言いながら、伊賀・土楽で焼成した土釜にご飯を仕掛ける。
コメがβからαに変化し、ご飯独特のうまみを出すには、蒸らしを入れて最低三〇分は必要。こだわりのコメや水より、炊き方が肝心という。
「始めチョロチョロ、中パッパッ。赤子泣いてもふた開けるな」と昔から言い古るされているが、野崎流は始めパッパッの強火にかけ、きれいなご飯の形付けをする。後は火を弱めて七~八分、さらに弱めて七~八分。この後は蒸気の力を借りて蒸らすだけ。
「おいしいご飯と味噌汁、漬け物に、二〇〇〇円の代価もいとわないというお客もいる」という。
「おいしいご飯に勝るものはありません。うちでもここで教えてもらった土釜で炊くようになりました」と野崎料理教室の生徒さんたち。
「今までは料理にご飯は別物だったが、もっと炊きたてのご飯に目を向けるべき」。レストランに行くことを、「ご飯を食べに行こう」という日本人にとって切っても切れないご飯をもう一度見直してみてはどうだろう。
◆日本料理「分とく山」(東京都港区西麻布四‐二‐一三、八幡ビル3F、03・3400・2968)営業時間=午後5時~11時(ラストオーダー9時)