とっておき旬の味・地の野菜 シェフに聞く野菜についての5問5答
国産野菜、輸入野菜のほかさまざまな加工野菜が登場してきている。そこで実際に使っているシェフに野菜への具体的な質問を試みた。(順不同)
(1)こんな野菜が欲しい。今注目している野菜
(2)野菜を主役にしたメニュー、また人気の野菜メニュー
(3)お気に入りの野菜
(4)カット野菜、冷凍野菜、水耕栽培野菜などについて思うこと
(5)仕入れ方法・産直か市場か
◆大里利光氏 日本料理「東天紅・海燕亭」
(1)本来の味を持つ野菜。小豆島の四角豆、岩津ネギ、三重県の伊勢芋など
(2)伊勢芋の浮かし赤貝、トマトのレモン煮
(3)伊勢芋、パプリカ、ホワイトアスパラ、ヤーコン
(4)カットはランチなどに使いたい。冷凍はホウレンソウ、芋などは使える
(5)産直は山菜、行者ニンニクなど
◆神田川俊郎氏 新日本料理「神田川」
(1)お気に入りは信州の高原野菜(アスパラ、ズッキーニ)
(2)泉州玉ネギを使ってのオーブン焼き
(3)夏季限定の泉州水ナスを使った糠漬け、塩漬け
(4)使ったことなし
(5)季節により異なるが、平均して半々。取材先で知った珍しいもの、面白い野菜を取り寄せている
◆野崎洋光氏 日本料理「分とく山」
(1)種なしオクラ
(2)茄子そぼろ寄せなど
(3)新レンコン、新ショウガ
(4)使用したことがないので答えにくい(使用する勇気がないのでしょう)
(5)市場七割・産直三割、茨城・千代田ミックスハーブ、根菜類など
◆小林直樹氏 寿司・割烹「しゃかりき」
(1)水分九五%以上ながらビタミンC、Ca、鉄分などミネラル分豊富な白菜
(2)根野菜の田舎煮
(3)青首大根(水分多く、煮ても火の通りが早い)
(4)あまり望ましく思わない
(5)市場一〇〇%。産直をしたいが、一二〇席店舗が二店のキャパでは安定した仕入れができないので難しい
◆市川知志氏 フランス料理「レストランW」
(1)農協の規格を無視した自然のものがよい。きれいに掃除をせずとりたてが欲しい
(2)トマト主役の「トマト」「野菜のお皿」など
(3)山梨のおじさんが作った不揃いのニンジン
(4)レストランでは必要性を感じない。業態により使い分けすればよい
(5)一〇〇%築地
◆大石正邦氏 フランス料理「オーベルジュ・ドゥ・オオイシ」
(1)変わったものでなく、普通の野菜でおいしいもの
(2)冬の1月~2月はトマト主体のメニュー
(3)冬は高松のトマト(大量に入れ、トマトフォンデュにしてストック)、夏は大阪の水ナス、冬のホウレンソウ
(4)うちでは扱っていない
(5)市場が主体
◆音羽和紀氏 フランス料理「オーベルジュ」
(1)いろいろなジャガ芋、ホワイトアスパラなど
(2)主役メニューをもっと増やしていきたい
(3)ジャガ芋、ホワイト・グリーンアスパラなど
(4)カットは消毒の問題、水耕は基本的によくない。冷蔵庫に入れないフレッシュ野菜がいい
(5)八百屋、市場、産直。相馬トマト・パプリカなど
◆上柿元勝氏 フランス料理「エリタージュ」
(1)九州の野菜すべて(本来の味をもつもの)
(2)アスパラガス
(3)平戸産アスパラ、大村産ニンジン、長崎産ポテト
(4)使っていない
(5)地元青果市場から産直野菜を。また季節の野菜を独自ルートで入れる。熊本産クレソン、ポワロージョーヌのほか沖縄産パッションフルーツなど
◆田辺年男氏 フランス料理「ヌキテバ」
(1)特になし
(2)トマトのムース・マジョラム風味、アスパラ、インゲン、ナスなどの炭火
(3)焼き・ビネグレットソース
(4)ナス、トマト、インゲン、大根、サラダ用の葉物
(5)冷凍野菜はまだよいが、カット野菜と水耕栽培野菜は日本の恥と思う
産直一〇〇%
◆三國清三氏 フランス料理「オテル・ドゥ・ミクニ」
(1)品目を問わず素材全部が味わえるベビーサイズ野菜。ニンジン、カブ、大根、カボチャなど
(2)夏野菜の軽い煮込みコンソメ仕立て鴨風味など
(3)季節に出回る旬の野菜、栗、ギンナン、山菜などはしりの野菜
(4)時代の流れでこうした野菜もある意味自然なこと
(5)基本的にすべて産直
◆米田岳人氏 フランス料理「オーベルジュぶどうの木」
(1)注目は豆類全般
(2)主役メニューはなし。人気はクルミとクレソンのサラダ
(3)ジャガ芋(ラット)、発芽野菜など
(4)冷凍シャンピニオンは国産フレッシュより香り高く気に入っている
(5)市場八対産直二。近所の農家からクレソン、春菊などを入れている
◆小澤唯治氏 イタリア料理「アンティーカ・トラットリア・ラ・コリネッタ」
(1)北海道産有機栽培野菜のカーボロネロ(黒キャベツ)、ラデッキオ、セルヴァティカ(野生種)など
(2)夏のスティック野菜サラダ
(3)ウイキョウ
(4)業態別に使い分けての使用はよいと思う
(5)冬期は市場、夏期は産直
◆日高良実氏 イタリア料理「マンジャペッシェ」
(1)各地で採れる旬の元気な野菜
(2)バーニャカウダ(野菜のオイルフォンデュ)、野菜の蒸し煮などメニューはいろいろ
(3)季節の野菜
(4)あまり好きではない
(5)市場五対産直五
◆山根大助氏 イタリア料理「ポンテ・ベッキオ」
(1)青菜のおいしいもの、豆
(2)トウモロコシのスープで炊いたポレンタ、万願寺トウガラシの一皿
(3)ウイキョウ、豆、山菜、ウリ、賀茂ナス、アスパラ
(4)家庭レベルまた業態によっては否定しないが、当店では論外
(5)市場七対産直三。北海道から信州、浜松、丹波など各地から取り寄せる
◆譚 彦彬氏 中国料理「赤坂璃宮」
(1)中国野菜のウリ(節瓜、細瓜、涼瓜、蕃瓜など)
(2)ヘチマのガーリック蒸し、米ナスとアワビの煮込み、トウガンの姿蒸し、カニ肉とトウガンの羹など
(3)節瓜、細瓜、青金針菜
(4)特になし
(5)市場八対産直二。フルーツトマト、行者ニンニクなどを産直
◆傳健興氏 中国料理「新世界菜館」
(1)タンポポ、スカンポ、野三ツ葉
(2)生椎茸の醤油煮、野三ツ葉の中華風おひたし
(3)野沢菜の若菜、原木栽培の椎茸天日干し
(4)使用側、加工側の研究で新しい可能性ができる
(5)産直六〇%。上野原からキュウリ、水菜、白菜、スズナなど。下仁田町から青梗菜、玉ネギなど
◆宮本荘三氏 ヒルトン東京ベイ 中国料理「王朝」
(1)軟らかい豆苗、空心菜が欲しい。注目は江戸菜
(2)季節の中国野菜の香り炒め、モヤシとセロリの湯葉巻きなど
(3)マコモ茸、北海道のホワイトアスパラ、完熟トマト、トウガンなど
(4)ニーズに合った使い方をすればよい
(5)市場九対産直一。江戸菜を産直
◆脇屋友詞氏 中国料理「トゥーランドット」
(1)味・香りが楽しめ、生で食せる香味野菜
(2)江南名産マコモ筍と和牛肉の煎焼きほか
(3)地場で採れる旬の野菜(タケノコ、ソラ豆、トウガン、白菜、キノコなど)
(4)カット、冷凍ともに技術的にいいものがあり使っている。水耕は力強さに欠ける
(5)市場六・五対産直三・五