データで見る食のトレンド(5)今後10年間の食生活の変化
農水省の食料品消費モニター調査(全国主要都市に在住する主婦一〇二一人)では、今後の食生活の変化について調べている。その結果を紹介してみよう。
社会全体をみて、今後一〇年間の食生活はどのように変化すると思うか一二の事項について尋ねている。「そう思う」の回答率が最も高いのは、「食品の安全性に対する関心が強くなる」(九五%)、次いで「産地や栽培、製造方法など食品の品質に対する関心が強くなる」(八四%)、「食品の包装容器のリサイクルやエコ・クッキングに対する関心が高くなる」(八四%)がベストスリーである。
消費者の「安全」「安心」志向はますます増大しており、二一世紀は環境にかける負担をなるべく減らすような食行動(主に調理)、つまりエコ・クッキングが求められる。具体的には食べ残しや食品包装などのごみを減らす、旬の食材を利用する、ガスなどの使用量を減らすなどといったことを指すが、外食レストランにおいてもこのような環境への対応(エコ・レストラン)が求められよう。
環境の世紀といわれる二一世紀において、上位三事項は食ビジネスの最大のテーマである。
四位以降をみると、「季節感が無くなる」(七四%)、「和食が見直される」(六六%)、「加工食品の充実などにより簡便化がさらに進む」(六一%)、「ビタミン強化や食物繊維増量といった健康志向食品の利用が増加する」(六一%)、「手作り料理が見直される」(五七%)といった事柄が過半数の消費者に支持されていることに留意する必要がある。特に、年代が高くなるに伴い回答率が高まる事項は、「季節感」「手作り料理」「健康志向食品」「和食」「品質」で顕著であり、高齢社会に対応するキーワードといえよう。