飲食トレンド:驚異の700円!「ドミノ・ピザ」がSサイズ戦略
デリバリー700円、テークアウト400円という驚異の新メニュー戦略に、宅配ピザ市場が騒然としている。それも業界の羅針盤「ドミノ・ピザ」だから衝撃は大きい。客単価3000円のドリームセールスはどこに。宅配ピザ市場も多分にもれず圧倒的低価格時代の幕開けか。
ドミノ・ピザの新メニュー戦略は、全アイテムにSサイズ(八インチ)を設けるもの。新メニュー「ガーリック&トマト」「ツナ・デライト」(いずれも七〇〇円)などを投入し、値ごろ感と個食ニーズ対応を訴求する。
既存六店舗でテスト展開の結果、オーダー枚数は約一五%増、売上げは約七%増、Sサイズのオーダー構成比は約二五%、客単価は三%減。12月から全一九五店舗のうち山手線内近辺を除く一二五店にSサイズを導入し、全体売上げ五%増を目指す。
「Sサイズ導入は試食ニーズの開拓と、ハーフ&ハーフのオーダーを二枚オーダーに代替していただくのが目的。セット販売が増えるので客単価の大幅下落はありません」とは鈴木稔本部長。
「選択の余地を増やすことで新規オーダーとヘビーユーザーの開拓を推進する」という。
Sサイズの導入は、購買力の弱いローカルに始まり、ほとんどのチェーンが売上げ不振のテコ入れ策として採用した。価格相場は一〇〇〇~一二〇〇円だが、これは、デリバリーコストを踏まえた損益分岐点が一〇〇〇円前後のため。そこへ今回、ドミノ・ピザが七〇〇円を投入した波紋は大きい。しかもテークアウトは三〇〇円引きの四〇〇円だ(Lサイズ一〇〇〇円引き、Mサイズ五〇〇引き)。
「ローカル地区ではSサイズがオーダーの過半数に迫る勢い。単価引き下げによるセット売りがトレンド」とは、お好み焼きとピザの複合展開で堅調なピザ・ポケットの大原義洋社長。「従来のピザが高すぎただけ。ブーム時のビッグセールスは神話に等しい。今後はセット売りするサイドアイテムの商品力がカギを握る」という。
サイゼリヤは三八〇円、ガストルームサービスは八八〇円からラインアップするなど、ピザの価格イメージは下落の一途。加えて、ほっかほっか亭、かまど家など、異業種低価格チェーンの宅配参入が追い打ちをかける。
最大手ピザーラはパスタ導入の新業態「P・D・D」(ピザーラ・ダイニング・デリバリー)を展開。東北の雄ストロベリーコーンズもパスタ訴求で「イタリアン・ダイニング・デリバリー」を標榜。ウイリーは弁当・釜飯の複合化を推進。同業他社の業態改革も活発だ。
ドミノ・ピザの思い切った試みが、宅配ピザ市場の大変革に火をつけるか注目される。
「ガーリック&トマト」(Sサイズ七〇〇円/Mサイズ一〇〇〇円/Lサイズ一六〇〇円)ダイストマト、ガーリック、パセリをトッピングしたシンプルピザ
「ツナ・デライト」(Sサイズ七〇〇円/Mサイズ一〇〇〇円/Lサイズ一六〇〇円)ツナ、コーン、パセリをトッピングした懐かしい味のピザ