地域繁盛店(京都)テークアウトメニュー編:豆富菓舗 藤野
豆腐をはじめ和の食材を使った和洋折衷の菓子を販売する「豆富菓舗 藤野」は、「京とうふ藤野」が「もっと豆腐の魅力を発揮したい」と出店したデザートショップ。片隅で豆腐や豆腐関連商品も販売している。
ショーケースに常時十数種並ぶ菓子の素材は豆乳やきな粉、大豆、あずき、黒豆。柿、栗など季節の和の果物も使われる。「豆乳プリン」や、黒豆きな粉の生地で作った「菓舗特製ショートケーキ」、乳酸菌を使ったババロアの「焼きとうふ」などどれもユニークで、イートインできる店内で試したくなる。
店の周囲は住宅街が広がり、観光名所の大徳寺もほど近い。昨年4月のオープン以来、順調に地元に浸透。遠方から訪れる観光客の「ケーキを持ち帰りたい」という声も多いが、豆乳の賞味期限が短いことから対応できない場合も。
製菓長の寺尾直也さんは「賞味期限の長いお菓子の幅を広げるべく、ギフト関連の新商品を開発中です」と熱をこめる。
京とうふ藤野は現在、京都市内を中心に一三店舗を展開。豆腐の販売、豆腐料理専門店、豆乳ドーナツショップなどその業態は幅広い。
新たに、豆富菓舗 藤野のデザートを取り扱うカフェもオープン予定。豆腐の可能性を広げている。
◆豆富菓舗 藤野(京都市北区紫野西御所田町二三、電話075・491・1028)
◆ひと言 寺尾直也製菓長
商品の人気の一因はカロリー控えめな点。主な商品はカロリー表示してPRしている。「牛乳を豆乳に代えることでカロリーを三分の一ほど控えることができるんです」と寺尾さん。
「豆腐自体日本人になじみ深い物だし、あっさりした口あたりで甘さ控えめなので高齢層にも受け入れられている」とも。生クリームに自社商品の冷や奴のつゆを混ぜるなど、甘みを抑える工夫が生きている。豆腐のヘルシーなイメージから外国人の常連も多い。
◆豆乳チーズケーキ(280円)
店一番の人気商品。低カロリーで口当たりも軽いことから「いくらでも食べられる」と多めに買う人が増えたため、小さいホール(九五〇円)での販売もスタート。一日四〇~五〇個出るそうだ。口に入れると舌の上でジュワッと溶けるような淡い食感がくせになりそう。豆腐に近いあっさりした味わいの中にチーズの風味がほんのり感じられる。チーズが苦手な人でも気軽に食べられそうだ。台には黒豆きな粉を混ぜ込んだスポンジを使っている。
◆卯の花焼菓子(1500円)
女性客が多い中、「男性にもなじみやすいものを」と開発したのがこれ。おからを主原料にブランデーで香り付けしてあり、ブランデーケーキのような感覚で食べられる。かみしめるとクシュクシュとしたおから独特の食感が。また味のポイントとして地元の名産、大徳寺納豆をたっぷり刻んで入れている。塩辛い味噌風味がブランデーの香りによく合う。焼菓子は一四センチメートル四方の正方形。冷蔵庫で一週間ほど保つので手みやげとしても人気がある。
●愛用食材 豆乳
菓子作りに欠かせない素材のひとつである豆乳。基本の食材だけにこだわりがある。使用しているのは、「京とうふ藤野」が独自の製法で作っている「豆乳」。商品としてパック売りもしているもので、「豆富菓舗 藤野」の店頭で手に入る。遺伝子組み換えでない大豆を使用。濃い濃度に絞りあげるので、まったりした口当たりで、大豆独特の甘い風味が残る。菓子になった時にも他の素材に負けずに全体のうまみを引き立てる。
◆京とうふ藤野/京都市上京区一条通り御前西入ル三丁目西町九〇‐四、電話075・463・1035