めざすは一流MISS料理人:レストランミクニマルノウチ・小泉敦子さん
東京・丸の内の「レストランミクニマルノウチ」はスローフードをテーマにしたフランス料理が楽しめる人気の店。
その厨房で紅一点、黙々と仕事をこなしているのが一九七八年生まれの小泉敦子さん。高校の進学コースにいながら二年生の時に「フランス料理の料理人になる」と決意し料理学校へ。以来、築地のフランス料理店を経て同店勤務とフランス料理の道一筋。OLになった友人には信じてもらえないほどの厳しい職場で働いてきた。
本人は「なぜフランス料理なのか? と問われても答えられませんね。強いて言えば父がフランス料理好きで子供のころよく連れて行ってもらったことでしょうかねー」と肩に余計な力が入っていない。
「性格的に自分はOLに向いていないことはよくわかります」と自己を冷静に見極めての決意だったようだ。
小泉さんの今の仕事はつけ合わせを担当するアントルメ。あがってきた料理に仕上げをする重要な役割だ。ストレスも多いのではと尋ねると「もともと失敗して落ち込んでも一晩寝れば忘れてしまう性格です。つらいことより旬の野菜を相手にして毎日のように変わっていく微妙な季節感を感じられる喜びのほうが大きい」と控えめななかにも自分の仕事に誇りと自信をうかがわせる。
話し方は穏やかな小泉さんだが実はかなりの行動派。高校時代は陸上とテニスで鳴らし、今の趣味はバイク。アメリカンタイプのバイクが好きで、愛車は二五〇cc。将来は大型のハーレーに乗るつもりだという。
心に秘めた仕事の夢もまた大きい。専門学校の時に学んだ経験のある本場フランスで仕事をすること、そしていずれは自分の店を持つことだ。
「それにはまず経験を積んでシェフと呼ばれるようになることが当面の目標です」と静かに話す目に闘志を宿らせる。調理場には女性には無理な仕事もある。「手伝ってもらうことは手伝ってもらう。自分でできることは責任もってやる」と心に決め、シェフへの険しい道へ堅実にアクセルをふかし続ける小泉さんだ。
◆「レストランミクニマルノウチ」=東京都千代田区丸の内二‐六‐一、古河総合ビル地下、電話03・5220・3921
◆プロフィル こいずみ・あつこ=昭和53年東京・深川生まれの深川育ちで両親と兄がいる。趣味はバイクと映画鑑賞。休みの日にバイクでミニツーリングが楽しみ。インターネットで食材やメニュー研究をしながら気になる店には食べに出かける勉強家でもある。
◆料理人を目指す女性の後輩へ
体力をつけてきて、のひと言です。技術やセンスは男女関係なく身につけていけます。でも調理場は男性の目線で設計されているうえ、体力勝負の部分では女性には不利な面があります。途中で投げ出さないためにも一番が体力です。
◆上司からひと言 料理長 武井千春さん
自分の夢の実現のために頑張って欲しいですね。負けず嫌いの頑張り屋ですからきっとできると思います。でも料理の世界は男性社会。女性には大変なことも多いと思います。人間関係を大事にしてチームワーク良く仕事をするようにアドバイスしたいですね。
◆いちおし食材 ホワイトアスパラガス
2月の中旬から夏前までが旬の野菜です。これが出てくると春が来たという感じがして好きな野菜です。苦みが強いのですが、ちょうどいい塩加減で火を入れると甘みがのります。肉や魚料理のつけあわせとしてよく合い、オードブルにもいいですね。
◆(有)エヌエスフーズ(東京都港区海岸三‐一五‐五、電話03・5476・2037)