トップインタビュー オーバン代表取締役社・佐瀬 清氏 タイ焼きのパイオニア
‐‐直営店以外はどのような方法でやっていますか。
佐瀬 フランチャイズに近いやり方ですがフランチャイズ契約は一切していません。というのは、いろいろなショッピングセンターができまして、フードコートができますと、この中で、こういう商売をしたいという方が必ずでてくるわけです。それから商店街の中で自分の店を通して、こういう商売をしたいという方に、うちは、この商売をすべて教えるわけです。どういう内容の商売で、どういう商品構成で、どういう投資が必要で、どのくらい売上げになるとかいったことを含め指導するわけです。
‐‐具体的にはどういうことですか。
佐瀬 店をはじめたいという方がありますと、まず、和風ファーストフードについて、また当社のシステムを説明、次に立地選考、立地診断をやります。それでOKということになりますと契約するわけです。加盟金、保証金、ロイヤリティー、技術指導料は不要です。
‐‐立地選定から開店まで全てオーバンさんが指導するわけですね。
佐瀬 店づくりは私どもが責任をもってやりますからお金はあなたが出しなさいということです。契約上は、売買取引きだけです。
私どもの仕事は、まだシステム化が進んでいませんので、お客様の意識とか意欲によって売上げが、どうにでもなるんです。従ってフランチャイズ契約をして、お客様が金を出したんだからもうけさせてくれるのが当たり前だという発想で仕事をとらえられると、この仕事はうまくいかないわけです。だから、やる気がなかったり、立地が悪い場合は、こちらからだめということにしています。
‐‐オーバンさんは、タイ焼き、タコ焼き、お好み焼きなど和風ファーストフードに関連する原材料と機械などのホールセーラーとして、また、和風ファーストフードの直営店を積極的に展開して、ご発展のようですが不況の影響はありませんか。
佐瀬 従来あまり景気に左右されなかったんですが最近は、昔でいう、いわゆるお焼きの店、路面店というのが少なくなって、ほとんどがショッピングセンターとか駅ビルとか、デパートとかスーパーの中のフードコートに入っていますのが不況の影響をかなり受けています。
‐‐それはどうしてですか。
佐瀬 原因は、いろいろと考えられますが、ある意味では商品がマンネリ化しているのかも知れません。今川焼き、タイ焼き、タコ焼きなどのこの一〇年来の動向をみますと品質は大変よくなっていますが、その提供方法にしろ、基本的な味にしろ、また機械にしてもあまり変っていないんです。とくに機械ですが旧態依然として一〇年前と同じ機械をつかっているわけです。だから、私が社長になってから社員に数年同じ仕事をやっているんだ、ハイテク時代になっているのに機械一つ改善していないのではないかといっているんです。
これを大幅に変えないと二Kだの三Kだのといわれる職場から脱却できないし人の問題も解決できません。
また、私どもの業種は、ショッピングセンターとかデパートのフードコートといわれているところでは、お客様の支持が一番あって、一番ファストフード化していない業種なんです。要するに、機械化、システム化というのが一番おくれているんです。
これまで、機械化、システム化をやったことがありますが、それをやりますと客が離れてしまう。私どもは「オテテメーション」といっているんですが、タイ焼きとか今川焼きとかお好み焼きなどは実演しながら提供しないとだめなんです。そこが一番むつかしいところです。
‐‐オーバンさんの年商はどのくらいですか。
佐瀬 今期は四七億円になると思います。
‐‐現在、和風ファーストフードの直営店は何店舗ですか。
佐瀬 三〇店舗ありましたが不採算店をスクラップ&ビルドで切り捨て二五店舗です。
‐‐二五店舗の売上げはどのくらいですか。
佐瀬 大体一〇億円ぐらいです。
‐‐今後、直営店を増やしていくのですか。
佐瀬 将来的には、もちろん直営店も増やしていきますが当面は、関東で二五店、関西に三店舗現在ありますが、関西を一三店舗に増やしたいと思っております。
‐‐直営店の他にオーバンのノウハウを最大限に生かしているところは何店ぐらいあるのですか。
佐瀬 全国で大、中、小を合せると約二二〇〇店あります。大は月商一〇〇〇万円以上の店もあります。
‐‐店の広さ、規模によって売上げが違うわけですか。
佐瀬 店の大小、広さには、あまり関係ないんです。要するに立地条件のいい店ですと六~七坪という小さな店でも年商一億円という店もあります。私どものお客様は年間取引きが四~五〇〇〇万円から一〇万、二〇万円というお客様もあり種々雑多です。
(文責・野崎)