電化厨房最前線(7)デリ&レストラン セタンジュ

2002.05.06 251号 4面

昨年9月、東京渋谷の西武百貨店A館地下2階にデリとレストランを業態コンセプトにした「デリ&レストラン セタンジュ」がオープンした。「デパ地下」のイメージを払拭した斬新でスタイリッシュな「食の空間」がヤングアダルト層に人気だ。その演出に大きく貢献している電化厨房。同店で使い勝手について聞いた。

「セタンジュ」(フランス語で七人の天使)は「見て」「食べて」「持ち帰れる」をコンセプトにした新世紀型のデパートのレストラン街。カフェ、地中海料理、京うどん、ベトナム料理などの七つの専門店が軒を連ね、食事やテークアウト、ケータリングのサービスを提供している。

今までのファミリーを対象にしたデパートの食堂や若年客中心のファストフード店とは大きくコンセプトを変え、二〇代から三〇代のサラリーマン、OLをターゲットにして成功している。営業時間を夜11時まで延長、界隈で働く独身者のニーズにこたえたことも支持されている大きな要因だ。

全店がオール電化採用。店内の空気には清涼感があり、地下二階という立地を忘れさせる清潔感ある雰囲気が印象的だ。

さらにガラス張りのシースルーキッチンを採用した斬新なデザインの店舗では、客がステージをみるような感覚で料理人の仕事を鑑賞できる。

「電化厨房の良さは厨房がきれいに使えることです。お客様に料理を食べていただくだけでなく、見て楽しんでもらうこともセタンジュの重要なコンセプトのひとつ。この実現は電化無しでは考えられませんでした」とアシスタントマネジャーの竹田重さん。

料理人にとってもシースルーのキッチンは予想以上にメリットが大きい。従来の厨房では見ることができなかった客の反応が手に取るようにわかるので、メニュー開発を考えるヒントになる。また客に仕事振りを披露できることで料理人の「張り合い」が飛躍的にアップする精神的効果も大きい。

「全店が電化の経験がなく最初はみんな不安気でしたが、今では電化の良さを理解して積極的に使っています。例えば電磁調理器は鍋がちょっとでも掛かっていれば働くので、四つの鍋を調理器の上に円状に置いて一度に調理と保温に使うなど工夫していますよ」と電化の意外な使用方法を語ってくれた。

同店は近隣のデパートや外食業界からの注目度も高く、関連の会社の見学者も多い。

◆現場からの声 アシスタントマネジャー・竹田重さん

電化は安全で衛生的なのがいいですね。デパートの飲食店は、デパートの顔でもあり、万が一にも事故があれば飲食店だけではなくデパートの看板に傷をつけることになります。ですからデパートでは月に五回それぞれ違った方法で衛生検査を行っています。

電化は調理場が汚れにくいだけでなく、掃除も簡単にできます。大変衛生的ですから厳しい衛生検査でも問題がでたことがありません。

またシースルーキッチンは、料理を作る側、食べる側の顔がお互いにわかるので、調理場にも良い意味での緊張感が生まれます。料理の味だけでなく調理場の管理も向上させる効果があります。

◆店舗メモ

「デリ&レストラン セタンジュ」/所在地=東京都渋谷区宇田川町二一‐一、渋谷西武百貨店A館地下二階/電話03・5784・3442(セタンジュ事務所)/営業時間=午前11時~午後11時/調理スタッフ=三〇人、サービス=九〇人(社員三八人、アルバイト八二人。うち男性四二人、女性七八人)

◆「食の空間」主要店舗

ワインショップ・ヴィノスやまざきワインニスト/カフェ・フラッグスカフェby4度C/京うどん・ひよこ/N.Y.ダイナー・B&Bキッチン/コンフォードフード・ターブルケイノヴィータ/パーティ&ケータリングサービス・ハニーズヨコハマ/地中海パスタ・ポルトフィーノ/ベトナミーズ・セラドン

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