名古屋版:岡田憲征・かぶらやグループ代表取締役社長に聞く
名古屋には、若手カリスマ的存在の二人の飲食店経営者がいる。一人は(株)ゼットンの稲本健一社長、もう一人は今回登場する京風串揚げ居酒屋「飯場」を中心に、次々に新業態店を出店している、かぶらやグループの岡田憲征社長である。それぞれ東京へ出店を果たしているが、奇しくも同時期に名古屋へ「里帰りオープン」を果たした。4月24日にゼットンが金山に「ギンザ舌呑(ぜっとん)」をオープン、かぶらやグループが納屋橋に「GINZAあしべ」を4月18日にオープンさせたのである。名古屋へ東京の街の空気をもたらすことになったが、常に時代のニーズを創出する若手経営者がつくる店は話題に事欠かない。さて今回は、その一人である(株)かぶらやグループの岡田憲征社長に新店について、また最近の考えを聞いた。
‐‐名古屋の発想からは程遠い「GINZAあしべ」はどんな発想から生まれたんですか?
岡田 当社が出店している「チャイナ5」は日本人がイメージする中華料理ではなく「チャイナフード」を提供する店。同じように「あしべ」も日本のすし屋ではなく、ロサンゼルスにある日本料理店で出しているすしのアレンジメニューを料理コンセプトとしたのが大きな特徴です。
聞くところによるとヒルトンホテルの宿泊予約の六〇%は外国人だとか。名古屋万博を控えていることもあるし、日本独特の料理に海外の要素も加えたメニューを開発しようとおもったわけです。あしべの良さをわかってくれるお客様に来ていただければと思っているので、客単価は七〇〇〇円ぐらいを考えています。
‐‐それから続いて4月24日には守山に、新業態の仙台名物牛舌料理「べこたん」を出店しました。
岡田 はい。初めてオペレーションで店舗展開していく店をつくりました。まずここをアンテナショップにして、将来的には和食レストラン色が強い郊外型と都心型と二つのオペレーションで展開していく計画です。
思いついたのは仙台に行った時。牛舌とテールが名物の地で、実際にそれらを食べてみると何か足りない。それで麦とろや漬け物もあったんで食べてみると、その組み合わせが妙味で魅力だったんです。私は田舎の農家の息子なので、すぐこれだと感銘を受けて…。
私の頭の中では、今漬け物もキーワードの一つです。具体性に富んだ、たとえば~県~町の~家の~というようなメニュー名をつけたいんです。素材だけでももちろんいいのですが、お茶漬けでも炒めたり、さまざまなアイデアメニューが広がる素材でもあります。
‐‐それにしても次々に新しい発想が生まれますね。
岡田 しかし、それはすべて僕自身の中にある記憶のノスタルジーから引き出されていることなので、大したことはないんですよ。
そうですねぇ、今考えているのはバー的要素を持つ立ち飲み屋と、ラーメン屋。ただし名古屋には立ち飲み文化は育たないので、大阪にはない名古屋独自の“立ち飲み屋”の構想が大切ですね。
ラーメン屋も目下研究中ですが従来のタイプではなく、女性にも入りやすいおしゃれなコンセプトでもっていきたいと思ってます。あとは大人の男女が楽しめるバー的な空間で日本酒なども飲めるようにした場所。重くなりすぎない雰囲気にした方がいいですね。
名古屋には大人が行ける店があまりにも少ないですから、このへんもまだまだ開拓の余地があると思います。まだ若いですし、これからもいろいろな新しいことにチャレンジしていきたいですね。
◆店舗案内
◆「GINZAあしべ」(名古屋市中村区名駅五丁目三八‐五、ウィンビルB1F、電話052・587・1588)営業時間=午後5時~午前0時(不定休)
◆「べこたん・守山店」(名古屋市守山区大字古根字階子田三一六〇‐六六、電話052・739・2088)営業時間=午後5時~午前3時(月~金)、午後4時~午前3時(土)、午後4時~午前0時(日祝)