進化するラーメン:ラーメンとカフェのコラボレーション「まっち棒」

2002.06.03 253号 4面

日本におけるラーメン人気はとどまることを知らず、その味は常に進化を続けている。現在、うまさの追求だけでは他店との差別化は困難となっている。このようなラーメン業界の行き詰まりを打破すべく登場したのが、(株)ヴィスプの手掛ける「ラーメンスタイルカフェ・まっち棒」である。ラーメン+カフェという異業種の合体からなる、この新しい業態は若者、特に女性の心をとらえ、話題となっている。

数年前、東京・池尻に小スペース・のカウンターだけの古ぼけた店を開業、それが大ヒットし、和歌山ラーメンブームの火付け役となった「まっち棒」((株)ヴィスプ・當仲邦広社長)。その本店を三宿に移転、空間デザイナーを起用したモダンでスタイリッシュな店に大変貌させたのが三年前だった。二四六号沿いに立つその「machi-bo」は三宿名物ともなった。そのまっち棒が昨年7月、満を持して出店したのが東京・三田の「ラーメンスタイル・カフェ」である。

「さまざまな業態が出尽くしてしまったいま、どうやって新しさを演出するか。それは異業態とのフュージョンや客層と価格のすき間を埋めていくことで追求しなければなりません。まっち棒は、ラーメン業界が見落としてきた女性というビッグターゲットを発掘し、生まれたのです」と店長の馬詰晃氏。

女性を意識した店内は四フロアからなる。エントランスから一階にかけては、NYテーストの無機質な空間を、オープンキッチンの二階を抜けて三階には全面に和紙を張りめぐらせた落ち着きの空間を配置。木・金曜のみ開放する四階は南国リゾート風の造りで、ラーメンテーストは店のどこからも感じられない。

三宿のまっち棒はラーメン主体のメニュー構成となっているが、このラーメンスタイル・カフェにおいては、ラーメンはアラカルトの一つに過ぎない。「まっち棒=ラーメン」という既存のイメージからすると、四〇種に及ぶラーメン以外のメニューの多さに戸惑いを覚えるであろう。

しかし、この店のメニューコンセプトは「客の要望にすべてこたえる」というところにある。そのため、さまざまなメニューを用意し、客の選択肢を広げているのだ。フレンチ出身のシェフがつくり出す料理は、フロンティア精神にあふれている。

目指すところはラーメンに固執することのない、柔軟に対応できるメニュー構成という。現在、月商は約八〇〇万円。メニューの充実に加えて、営業時間の延長も予定している。このような環境整備を実現していけば、目標である月商一〇〇〇万円を超える日は遠くないであろう。

◆店舗案内

「ラーメンスタイル・カフェ・まっち棒」(東京都港区三田三‐一‐一三、電話03・5730・1390)開業=平成13年7月1日/坪数席数=二六坪三七~五三席/客単価=一二〇〇円/営業時間=午前11時~翌午前0時、無休/平均月商=八〇〇万円(目標一〇〇〇万円)/メニュー=ラーメン一五種、デザート&フード四〇種、ドリンク五〇種~

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