めざすは一流MISS料理人:トゥーランドット游仙境赤坂店・深澤久美子さん
東京・赤坂「トゥーランドット游仙境赤坂店」は本格的中国料理をレストランとテークアウトメニューで楽しめる人気の店。平日の昼休みには、デリBOXを買い求める近隣のサラリーマン、OLでにぎわう。
厨房スタッフは一三人でうち女性が二人。その一人、深沢久美子さんは注文・仕込み・食材管理を担当している入社五年目のベテランだ。
深沢さんはとにかく明るい。小柄だが、彼女がいるだけで周りがパッと明るくなり、厨房のムードメーカー的存在だ。
「仕事をしていて嫌だと思うことはありませんね。例えあったとしてもすぐに忘れます。B型ですから」(笑)
子供のころから料理好きで、よく家族に親子丼などを作っていた。だから今でもまかないを作って「おいしいよ」と言われるのが一番うれしいという。
高校時代は陸上競技部でハイジャンプの選手。一時は卒業したらトレーナーになろうと考えたが「やはり調理がしたい」と大阪あべの辻調理師学校に進んだ。
中華を選んだのは「鍋と包丁だけでほとんどの料理ができるから。それだけに鍋の振り方や包丁さばきの技術は奥が深いのが魅力」という。中国料理への好奇心と探究心の旺盛さは、五年たった今も全く変わらない。
当面の目標は、板場の仕事を完璧にこなし、鍋をしっかりと振れるようになること。本人は「五年もやって自分の限界に気がついてないだけかも知れない」と笑っているが、実は「やると思ったことは必ずやる」という意志の強さも彼女の長所。それでいて肩肘を張らずに日々の努力を楽しんでいるところが明るさの秘密のようだ。
将来の夢は「独立して一軒の店を切り盛りすること、そしてその先はヒミツ」と意欲的だ。
いつの日か「あの店は料理もウマイが、女主人の明るい雰囲気がいいね」と客からいわれる店がどこかに現れるにちがいない。
◆プロフィル ふかさわ・くみこ=昭和53年静岡県富士宮市生まれ。両親と兄がいる。凝り性なので趣味は多い。最近では映画鑑賞、カクテル作りなどに夢中。休日に原付バイクに乗るのも楽しみで、目黒の自宅から富士宮の実家まで帰ったことも。
トゥーランドット游仙境赤坂店注文・仕込み・食材管理担当
◆「トゥーランドット游仙境赤坂店」(東京都港区赤坂一‐一二‐三二、アーク森ビル二階、電話03・3568・7190)
◆料理人を目指す女性の後輩へ
力では女性にハンディがあるのは当然。でも女性には、男性では気がつかないことに気がまわる繊細さがあります。男性に対抗しようとするのではなく、女性にしかないものを生かして頑張ればいいと思いますね。
◆いちおし食材 ろくろ極吟豆腐
杉の名産地・鳥取県八頭郡智頭町芦津で湧水を使って作られるお豆腐です。絹ごし風の口当たりの良さと大豆風味の甘みがあるまろやかな味がその特徴です。
前菜やピータントーフなどのアラカルトメニューに使うなど、大変重宝しています。
(有)楽粹(らくすい)/鳥取県八頭郡智頭町芦津上ノ平ル五〇四、電話0858・75・2515
◆上司からひと言 総料理長 脇屋友詞さん
私が修業時代に自分の限界に挑戦して半年休まなかったことを聞いて、何ヵ月も働き続けるので、私の方が心配になって休ませたほどです。将来、本場中国の女性料理長のように、なんでもこなせる料理人になる素質がありますね。でも料理には優しさも大切だということも忘れないで頑張って欲しいですね。