スペイン・アンダルシア特産シェリー「マンサニージャ」がこの夏熱い!
スペイン・アンダルシア特産の酒精強化ワイン・シェリー。中でもスペイン国内では「マンサニージャ」という種の人気が高い。6月4~6日、東京ビッグサイトで開催された「VINEXPO ASIA-PACIFIC」でもスペインブースで各社が出品、樽から注ぐヴェネンシアドールの妙技を含め、注目を集めていた。
マンサニージャはパロミノというシェリー用ブドウで造った白ワインに、ワインを蒸留してとったスピリッツを加え、アルコール度を一五度まで上げた酒精強化ワイン。独特の熟成で完成させる逸品だ。
一七九二年から続くワイナリー、ビニコラ・イダルゴ社のティモシー・ホルト輸出部長は「マンサニージャは、アンダルシアの南西の端、大西洋に面したサンルーカルという港町でのみ造れる酒です。海に近く通年寒暖の差が少ないという気候のもと自然発生する酵母『フロール』が、ワインの表面に常に安定した膜を作り酸化を防ぎ、独特のキリッとした味わいとまろやかな風味をつけます」と語る。
さらなる特徴は、シェリー特有の「ソレラ」という熟成システム。何段にも積まれた樽の一番下の樽からほんの一部を引き抜いて、飲む分とする。減った分はすぐ上段の一年若いワインで補い、そのまた減った分はもう一段上のワインで補い…という作業を何段も繰り返すことで、樽の中は常に新旧がほどよく混ざり合い、新鮮かつ深みのある酒に育つ。
「数あるシェリーの中でもマンサニージャは軽めでサッパリ系、ランチにもぴったりです」とユニオンリカーズ(株)のアルフォンソ・マルティンさん。
「キリッとごく辛口なので生カキやエビ・カニはじめどんな料理にも合うし、夏にはビールがわりにもいい、と日本の外食店でも扱いが増えてきています」。アルコール度は日本酒とほぼ同じでワインより日持ちもするという。
また、長いひしゃくで樽の中の酒をすくい、それを頭上高く持ち上げグラスに巧みに注ぎ込む妙技・ヴェネンシアもシェリーの楽しみの一つ。
「本来ヴェネンシアは、醸造責任者(テースター)が、タイプ・クラス分けをするために行うものですが、グラスを片手に四~一六個も持ったりオーバー・アクションにしたりとパフォーマンスとしても行われます」と東京・銀座のシェリー酒専門店「しぇりークラブ」マネジャーで、公認ヴェネンシアドールの中瀬航也さん。
酒注ぎの妙技師・ヴェネンシアドールが、スリムな小さめワイングラス「コピータ」に注いでくれたマンサニージャを「立ち飲み」するというスペインスタイルも今夏話題になりそう。
◆ドライで激しい「ラ・ヒターナ」
ビニコラ・イダルゴ社のマンサニージャ「ラ・ヒターナ」。「ラ・ヒターナはスペイン語でジプシーの女の意。シャープでドライで激しく熱いイメージ。ラベルモチーフにもなっています」と同社ティモシー・ホルト輸出部長。七五〇ミリリットル一六五〇円。輸入総発売元=ユニオンリカーズ(株)(電話03・3486・8381)
◆ドン・ホセを誘惑する酒精強化シェリー
「オペラ『カルメン』の中には、主人公のカルメンが『二人でマンサニージャを…』とドン・ホセを誘惑するシーンもあるんですよ。さぁあなたもだれか誘惑してみては?」とユニオンリカーズ(株)アルフォンソ・マルティンさん
◆「しぇりークラブ」(東京都中央区銀座六‐三‐一七、悠玄ビル二・三階、電話03・3572・2527)