名古屋版・インタビュー:や台やグループ・瀬川雅人常務取締役
お好み焼き、鉄板焼き業態の「や台や」(現二二店舗)を中心に、「や台ずし」(一七店舗)、イタリアン屋台「やたいーな」(五店舗)、あぶり焼き「や台どり」(三店舗)、七輪焼き酒屋「ええとこどりや」(三店舗)、「や台牛」(一店舗)など、多業態で展開している(株)ヨシックス。その名の通り、店づくりは昔懐かしい屋台風。しかも“今”の新しさもあって、オヤジ酒場の古くささはない。そのためか学生、OL、ファミリーなども来店する幅広い人気を持つ。
同地域に二店三店とドミナント方式によりじわじわと広げていく出店戦略は、相乗効果も大。看板がひときわ人目をひくことにもつながり、町中の憩いの居酒屋としてすっかり定着したようだ。
好調の理由を、「や台やグループ」の瀬川雅人常務に聞いた。
コンサルタント業を経て喫茶レストラン店長からヨシックスへ入社、「や台や」一号店からかかわっているのが、現在「や台やグループ」を率いる瀬川雅人常務。
「昔ながらの懐かしさがあり、時代を超えて多くの人に愛される普遍的な居酒屋業態としての可能性を信じて入社しました。や台やのハード面は優れていましたが、当初は料理とスタッフのレベルも低くいろんな問題を抱えていましたね」
それからは試行錯誤を繰り返しながら月一店舗のペースで出店、平成12年ごろから軌道に乗りはじめ、もっか注目株チェーンだ。
直営ならびに、同社が初期投資を負担するYL(ヨシックスリースシステム)、さらにFVCの三つの方法で展開中だが、現在のところ直営三三店舗、YL五店舗、FVC一三店舗で構成。ヨシックスとしてはあくまでも社員独立を基本としているため、社員に直営からYLへ、さらにFVCへとステップアップしていくことをすすめている。
したがって、外部からのFVC希望は「あまり歓迎しない」考えであり、FVC数の上限を全体の二五%としている。
というのも「直営および社員独立による店舗を通じて、お客様に支持されるや台やグループらしさを今後も徹底して追求、開発していく必要性があるためで、そのノウハウをFVCに還元させていく」との考え方だ。
標準店舗は一五坪三〇席のワンマン経営型。多業態を持つメリットは、店舗を取り巻く状況の変化に対処するための業態変更が容易にできることと、社員のためにグループ内で業態選択が可能なことである。
客層が幅広いため、メニュー料金の幅も二〇〇~八〇〇円まで広く設定。客単価は平均二〇〇〇円と創業当初から変わっていない。「空になったグラスや皿を下げて“もう一杯”“もう一皿”の単価を上げる政策はサービスではないと思っています。当社では、お客さんがお帰りになる際の印象を大切にしていて、満腹感と心の満足感を感じていただき、また次のご来店につなげたいため、客単価は決して高くはしたくないですね」
「今は人材教育と、いかに利益を生む構造をつくり管理・運営していくかが大きな課題」と話す瀬川さん。8月28日には、BSE騒ぎで中断していた「や台牛」を再開。七輪であぶり焼いたレアな牛肉に対する客からの強い要望にこたえたもので、状況を見ながら新しい展開への対応も早い。9月19日のオープンも含めて関東には四店出店ずみで、さらに関西へも店を広げ、二〇〇四年には一四二店舗達成する予定。二〇〇五年には株式上場を目指す。
●企業メモ
◆(株)ヨシックス(吉岡昌成会長兼社長、事業本部=名古屋市東区徳川町五〇二番地、電話052・932・8431)
◆沿革=昭和60年(株)ベストフード(飲食業)設立。平成5年(株)飯蔵(惣菜弁当事業)を設立。10年に「や台や」グループ立ち上げる。13年飯蔵とヨシックスが合併して(株)ヨシックスとなる。年商三八億円(14年3月期)、現在五一店舗展開中。