新鮮度の秘密は“テクノエナジ” 諸国お勝手料理「根っこ」

2002.11.04 262号 22面

全国の“うまいもん”が届き、産地の新鮮な状態をキープした食材を使った料理が手ごろな価格で食べられる。この当たり前のようで難しいことを実践する店が、松江にある「諸国お勝手料理・根っこ」。評判が人気を呼び、駅前という好立地も手伝って、連日大勢の客でにぎわっている。その魅力と秘密を探った。

この店は、もともと二五年間続いたおでん屋で、現社長の母親が一人で切り盛りする店だった。引退を考えた母から昨年6月に店を引き継ぎ、今年6月に現在の「諸国お勝手料理・根っこ」にリニューアルオープンした。

社長は、マイナス温度保存・解凍システム「テクノエナジ」の製造販売で業界では知られているマルシェマシナリー(株)(島根県八束郡、電話0852・52・2340)の古安正好氏。

同氏が本来、本業のユーザーとなる飲食店と同業を経営するに至ったのは、「テクノエナジの営業で日本全国を飛び回るうちに、各地の特産品や旬の味覚である肉や魚、野菜のおいしさにほれ込んで、ぜひこれを自店でも紹介したい。そして結果的に同業となる飲食店の方にも食べてもらい、地方である松江でも全国各地の食材が産地のままの新鮮な状態でお客様に提供できることを実感していただきたい」という思いからである。いわばモデル店だ。

「中国地方で大手の野菜仲買の保冷庫や、関西に本社のある大手カニ料理チェーンのセントラル工場、焼き肉の全国チェーン店内の冷蔵庫に採用されている」(古安社長)というテクノエナジの力があってこそ、料理の基本である、旬の食材を鮮度の良いうちに客に提供するという当たり前のようで難しいことを可能にしている。

この店の最大の特徴は、レギュラーメニューの中に、通常現地でしか味わえない高鮮度の旬の味覚が数多く品ぞろえされているところ。とりあえずのお急ぎ料理の和歌山産「しらすおろし」(四五〇円)、焼き物の秋田産「比内鶏」各種(三〇〇~九八〇円)、料理長こだわりのうなぎ料理の高知産「うなぎ」各種(四〇〇~九〇〇円)、ご飯物の「しゃけいくら丼」(五〇〇円)などである。

驚くことに、古安社長はこれら素材を仕入れる相手には直接会いに行く。食材を提供する相手の顔が見えないものは店には出さないという徹底ぶり。「直接話をすることで、相手も私の顔を見ているから良い物しか送ってこない。当店にしか出さないと言っていただいているものもある」と言う。

そして店の名の由来である“諸国お勝手料理”は、これらの素材を用いたオリジナルメニューというわけだ。また、日本有数の海の幸、山の幸を有する出雲の味覚も数多く品ぞろえしている。「珍味一品料理」「干物・地元御津港直送こだわりの品」「旬の魚料理」「サラダ」「漬け物」「汁物」など、どれもこれもが旬と鮮度にこだわり、ここでしか味わえないものばかりである。

とにかく、常に日本中を駆け回っている古安社長は、行く先々で食材を見つけだしてくる。もちろん地元の業者とも常に情報を取り合う。したがってこの店には、レギュラーメニューのほかに和紙に手書きされた“本日のおすすめ”が豊富にある。

「本日の刺身盛りあわせ」「本日の一品」「旬の魚の煮付け」「季節のグラタン」「季節のピザ」「旬の野菜サラダ」などなど。そんな古安社長にほれ込んだ蔵元が、飲食店では「根っこ」にしか出さないという出雲の地酒も存在する。

忘れてはならない二五年の老舗の味、「女将さんのおでん盛り」(四八〇円、単品一〇〇円)の味はしっかり受け継がれ、現在も人気メニューだ。

◆「諸国お勝手料理・根っこ」(島根県松江市朝日町四五二、電話0852・26・3855)営業時間=昼午前11時~午後2時、夜5時~10時30分、日曜日休/坪数席数=四〇坪六〇席

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら