カレー特集:カレーライス、夏本番に秘策

2003.06.02 269号 1面

一〇年前、世界初のフードアミューズメントパークの新横浜ラーメン博物館がオープンし、ラーメンブームが巻き起こった。そして、横濱カレーミュージアムが一昨年1月にオープンし二年半。ラーメンとカレーライス。国民食として名高い両雄だが、市場規模はラーメンの約七〇〇〇億円に比し、カレーはその半分といわれる。夏本番のカレーシーズンを迎える中、外食市場のカレー動向を追った。

■ポスト・ラーメンブームに期待

“おふくろカレー”という言葉の通り、カレーは外食というより内食としての地位が高い。カレー消費の外食比率は三割ぐらいといわれる。それにはメーカーが家庭食としてカレールーを広めていった背景があるが、近年、カレーの外食比率は上昇しているという。

「カレーをラーメンのようにメジャーにしたい」とはカレー関係者の本音。「ご当地ブームでメジャーになったラーメンの後を追いかけよう」という機運は高まるばかりだ。

ハンバーガーチェーン最大手が四〇〇〇店弱、コーヒースタンドチェーン最大手が約一二〇〇店舗。これに対し、カレーチェーン最大手のカレーハウスCoCo壱番屋は約八六〇店。まだまだ、カレー市場には大きなビジネスチャンスが眠っている。

■品質の統一と標準化にも挑戦

カレーは煮込むほど味が変わる。朝と夜ではまったく味が違う。具の容量も違う。温度によっても味が違う。これらは統一化や標準化を基礎とするチェーンオペレーションの原則にそぐわない。カレーチェーンが育たない要因である。

仮にセントラルキッチンや従業員教育で克服しても、結局は家庭のカレーと比較される運命にある。「早く腹を満たせればよい」というニーズも多く、高単価設定が困難とされてきた。

■カレー文化の地位確立へ

長らく大衆メニューの一つという存在に甘んじ、チェーンビジネスとして紆余曲折してきたカレー。しかし、付加価値(イージーオーダー)で成功したカレーハウスCoCo壱番屋に続く、世代を担うパイオニアがそろそろ現れてよい時期だ。

横濱カレーミュージアムがカレー文化を広めている。CVSのカレーパンやカレー弁当、専門店のレトルトカレー販売など、カレーのブランド力を高める動きも顕著だ。ファミレス夏定番のイベントメニューの枠を超えて盛り上がっている。

((有)マネジメントプロセス・三浦紀章〈中小企業診断士〉/フィールドマネジャー・冨塚秀行)

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