カレー特集:壱番屋「カレーハウスCoCo壱番屋」

2003.06.02 269号 2面

◆創業の経緯

カレーハウスCoCo壱番屋(以下ココイチ)の創業は二五年前。現会長の宗次直美氏夫妻が自営の喫茶店で家庭味のカレーを提供し、人気を博したことから始まった。後、カレー専門第一号店を名古屋市の郊外、西枇杷島の地に開いた。「カレーならここが一番や!」となったわけだ。それを足場に外食カレー市場唯一のビッグチェーン約八六〇店舗を築き上げた。

成長の原動力は、社是である「ニコ・キビ・ハキ(にこにこ・きびきび・はきはき)」という真心込めた接客のキーワードだ。カレーは家庭に浸透した国民食であり、どこでも手軽に食べられる料理である。したがってサービスという付加価値なしには勝ち残れない。創業当初から取り組んで来たQSC活動の積み重ねが大きなビジネスベースとなっているという。

また、「ブルームシステム」という社員独立支援制度も見逃せない。ココイチでは、飛び込みのFC加盟店は公募しておらず、この独立支援制度によるFC加盟のみとなっている。独立候補社員として入社し、最初一〇等級キャリアからスタートし、三等級以上に昇格すると独立資格が与えられる(SVへの道もある)。

本部の支援体制も充実しており、中でも無担保で二四〇万円の融資が受けられるというのは魅力だ。この債務保証として本部は約三〇億円をストックしている。チェーンを支える基幹システムとして位置づけている証拠でもある。

このブルームシステムでは、入社から平均四年で独立するのだが、そこにたどり着くのは約七%。独立が安易ではないということを物語っている。直営店で鍛えられ、オーナー意識を身につけ、高いモチベーションを維持したままココイチの理念を実現していく。この厳しさが唯一のカレーチェーンを支える強さだ。ブルームシステムによる出店で赤字による脱落店は一つもないという。

◆事業の特徴

ココイチのメニューは、家庭味のカレーをベースに、辛さ、ライス、トッピングを好みで選べる。ライスは一〇〇g刻みで大食はもとよりダイエット、少食志向に対応。トッピングの人気ベスト5は、チーズ、ロースカツ、あさぐり(アサリとハマグリのミックス、3~5月の季節限定)、チキンカツ、イカの順。これらを組み合わせて自作のカレーを楽める。

佐賀と栃木のセントラルキッチンで加工するカレーソースは、一旦冷凍し寝かせ全国配送する。店では、解凍して温め直すだけで煮込まない。これが品質を保つ大きなノウハウである。

◆今後の戦略

また、「カレーは劣化が少なくテークアウトに向く」とし、宅配サービスを約三分の一の二九〇店で展開。ロットオーダーのオフィスユーザーを増やしている。

また、画一的でなく、シズル感ある「鉄板カレー」(北海道地区)、「横須賀海軍カレー」など地域性を踏まえたメニュー展開も始めている。

新業態開発にも積極的で、あんかけスパゲッティ(名古屋地区では隠れた名物、一度食べたらやみつきになるという)の専門店「パスタ・デ・ココ」や、カレーパン専門店の「カレーパン屋Cocoichi」などカレー以外の分野にもチャレンジしている。

現在、外食カレー市場におけるココイチのシェアは一%。今後五%を目標に二〇〇〇店舗を目指す。

◆会社概要

企業名=(株)壱番屋/本社所在地=愛知県一宮市三ツ井六‐一二‐二三/代表取締役社長=浜島俊哉/設立=昭和57年7月/資本金=一四億九三一二万円/従業員数=六七六人

◆いちおし食材 期間限定トッピングメニュー類

一ヵ月半に一回のペースで期間限定のトッピングメニューを出している。3~5月はアサグリ、豚しょうが、スジコン(牛筋とコンニャク)だった。期間限定トッピングメニューのアイデアは冷食メーカーや商社から持ち込まれる。一〇〇%ココイチオリジナルのPB食材だ。オリジナルである以上、国内外を問わず、産地や加工工場に出向き検査確認を厳格に行っている。

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