関西版:フジオフードシステム、第3の柱に手作り居酒屋、おふくろの味基本に
大衆食堂経営と、同飲食店のフランチャイズ・チェーン本部運営を行う(株)フジオフードシステム(大阪市北区、電話06・6882・0851)は、直営店舗とFC加盟店舗を合わせ二七業態(9月末現在)、二四三店舗(同)を展開。わずかな期間(一九九九年末・七四店舗)での急成長、昨年12月の株式上場(ヘラクレス)は、まさに二一世紀型外食成功企業の象徴的な姿である。「一〇〇〇店舗、一〇〇〇億円を目指す」(藤尾政弘社長)同社をレポートする。
通常外食新興勢力といえば、常に流行の三歩先をとらえ、早期に出店投資の償却を済ませれば、その流行が終わる前にまた次の流行を創造する。そんなイメージだが、同社に限ってはその新興勢力像からは大きく異なり、基本的には、“おふくろの味が食べられる食堂”である。
主業態の「まいどおおきに食堂」(現在約一〇〇店舗規模)は、一七年前に現在の本社近く(大阪市北区南森町)で開業。大きな再投資もせず繁盛を続け、今日に至る。第二業態の「神楽食堂 串家物語」(同八〇店舗規模)は、「祭り」をコンセプトに「つくる喜び・選ぶわがまま・食べて満足」を提供。居酒屋層ではない二〇~三〇代の女性からも支持されている。「大衆食は町の中にある」(藤尾社長)という考えの店舗は、時代に左右されない業態として地域の顧客に愛され続けている。この抜群の安定性が、フジオフードシステムにおける外食ビジネスの根幹である。
一方で大衆食堂といえども外食不況のあおりを少なからず受けている。二〇〇三年6月中間期では、全業態の直営既存店(一〇一店舗)対前年比売上高七・〇%減、同客数三・三%減、同客単価一・一%減とやや苦戦を強いられている。同社はこのような厳しい環境の中で、独自のさまざまな施策を打ち出し業容を拡大させている。 新業態で今後第三の柱を目指すのが手作り居酒屋「かっぽうぎ」。オフィス街を中心にお母さんの手作り料理を提供。10月8日に東京と大阪に一店舗ずつオープン、三年で三〇〇店舗規模を目指す。
特徴は、料理のコンセプト同様、従業員も中高年女性だけとした点。サラリーマンにあたたかで落ち着ける空間を提供する。「料理の一品単価は基本的にすべて三〇〇円以下」(同)とリーズナブルだ。
「つるまる」は六年前に始めた立喰い饂飩「丸天家」の発展版。丸天家のデータを生かし座席も設置した。流行のブッフェスタイルで、上期に八店舗を出店している。
「火の音 水の音」は大釜で炊きあげたご飯と炭火焼、浪花風おでんを田舎の民家の土間をイメージした癒しの空間で愉しむ。上期に二店舗出店している。 主力の「まいどおおきに 食堂」の郊外型店舗として開発したのがフリースタンディングタイプ。立地は生活幹線道路に面したコンビニ立地を想定。6月に一号店(大阪府摂津市)を出店、好評を得ている。
客単価は六〇〇円。客席七〇席程度。郊外型店舗だけで、三年で三〇〇店舗を目指す。完全セルフ方式とし、ホールに人員は配置しない。
一汁三菜で六〇〇円という低単価を実現。ファミリーにも喜ばれている。
同社は初期投資費用の低減を目的に、ビルインタイプの食堂の新パッケージ開発を進め、従来の標準モデル(三〇坪)四六〇〇万円を四二〇〇万円とした。これは工事原価の見直しが主な要因だが、さらなる投資費用の低減に向けて、飲食店向け厨房機器の再生販売事業の(株)テンポバスターズと今年5月に業務提携を行っている。
提携内容は(1)テンポバスターズが中古厨房機器などの買取などによって得られる店舗不動産物件情報を、優先的にフジオフードシステムに提供する(2)紹介店舗不動産物件情報で出店にいたった場合は、店舗に必要な厨房機器などをテンポバスターズから購入する(FCではオーナーの意向を優先)など。 譲渡スキームとは、FC加盟先の業績・店舗運営の出店不安を解消するための対策。「まいどおおきに食堂」業態で、店舗運営実績のあるFCオーナーに限り、店舗をファンドで出店し、FCに業務委託するもの。スムーズな立ち上げを実現し、二、三店舗目の出店スピードアップを図る。9月末時点で六店舗を譲渡している。
以上のように、客にはおいしく、安い店、店舗は手軽に、長く続けられる店のコンセプトの下で、一〇〇〇店舗、一〇〇〇億円を目指していく。