この一品が客を呼ぶ・東京:「あんかけスパゲッティでらうま亭」ミラカン

2004.02.02 280号 9面

名古屋限定の下町グルメともいうべき「あんかけスパゲッティ」の専門店が、昨年3月、ついに東京にオープンした。サラリーマンを中心に七割を占める男性客がこぞって注文するのが、本場名古屋でも一番人気の「ミラカン」。専門店で修業を積んだ本場仕込みの味がいかなるものか、さっそく訪ねてみた。

スパイスを効かせたトマトベースのあんを極太のスパゲティにたっぷりかけ、さまざまな食材をトッピングする。みそカツやきしめんなど、独自の食文化をもつ名古屋にあって、あんかけスパゲッティは古くから広く市民の間で親しまれてきた人気メニューだ。

そんな庶民の味を東京に広めよう、と昨年3月にオープンしたのがここ「でらうま亭」。

オーナーの菅井俊行さんは、転勤により約一〇年間の名古屋生活を経験した脱サラ組。

「初めてあんかけスパゲッティ食べたときは『何だこれは!? 変な食べ物があるな』と思いました。でもしばらくするとまた食べたくなる。気づいたら週に二、三回は通っていましたね」

でらうま亭を訪ねる客も、一様に同じ反応を示すというからおもしろい。驚き、首をひねりながら食べていた客が、何日か後には夢中でほおばっている。つまりはそれがあんかけスパゲッティの魅力ということだ。

全二五種のメニューに共通するのは、ボリュームたっぷり三〇〇gの極太麺、そして名古屋の専門店で修業を積んだ菅井さん特製のあん。玉ネギ、ニンジン、ジャガ芋、ニンニクなどの野菜をじっくり煮込み、牛豚の相びき肉とトマトペースト、トマトピューレ、スパイスを加えてさらに煮込む。これに片栗粉でとろみをつけ、ひと煮立ちすれば完成。

一番人気の「ミラカン」(八〇〇円)は、「ミラネーズ」(七五〇円)と「カントリー」(七〇〇円)のトッピング食材をミックスしたもので、ウインナー、ベーコン、マッシュルーム、ピーマンなどを炒めて豪快に盛りつけている。これは本場名古屋でも定番の人気メニューだ。

◆あんかけスパゲッティ でらうま亭(東京都世田谷区松原一‐三八‐一二、電話03・3325・2610、一八席)営業時間=午前11時~午後3時、午後6時~10時/一日食数=約三〇食

◆食材の決め手:ウインナーソーセージ 明治ケンコーハム

名古屋では、なぜかあんかけスパゲッティには「赤いウインナー」が欠かせないのだとか。ここでらうま亭でも、ミラカンに限らず多くのメニューにこの赤いウインナーがトッピングされている。

使用するのは豚肉と鶏肉を合わせたもので、週に六キログラムほど仕入れるという。郷愁を誘う味わいもさることながら、鮮やかな赤がメニューに彩りを添えている。

▽問い合わせ=明治ケンコーハム(株)(東京都品川区南大井、電話03・3765・8601)

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