関西版:目指せ日本一のお好み焼き企業、独特の食感アピールする「南風」
“目指せ日本一のお好み焼き企業”をスローガンに、現在西日本を中心に次々に出店を続ける元気印のお好み焼き店が、(有)喃風(兵庫県姫路市、電話0792・24・3439)が手掛ける「南風」。硬いお好み焼きと軟らかいもんじゃ焼きの中間という食感で、お好み焼きは丸いもの、たこ焼きは小さな球形という概念をも取っ払った独特の商品は、一度食べたら“ハマル”と評判となっている。
一八年前にレストランタイプのお好み焼き店を姫路市内にスタートさせたのが秦崚時社長。「お好み焼きでもない、もんじゃ焼きでもない、どこにもない当社独特の商品が認知されるのに三年かかった」と当時を振り返る。その南風は一二年間一店舗だけで営業、多店舗化を進めたのはわずか六年前だが、現在、兵庫、岡山、広島、鳥取の各県に直営店、FC店を合わせて二四店舗を展開している。
南風の最大の特徴は食感にある。お好み焼きのようにパサパサでなく、もんじゃ焼きのようにトロトロでなく、明石焼きのようにプルプルでもない、その中間の絶妙な食感なのである。またメニューは、初めて行くと戸惑うほど、とにかく変わったものが多い。ハマルというのは、今までに食べたことのないものを、一つ一つ経験していくということだと想像がつく。
お好み焼きは創業当時からほぼ変わらず、見た感じは普通のお好み焼き。創業当時からのスタンダードな南風の味を楽しむならこれである。定番の「豚玉」「いか玉」六〇〇円、男性に人気の「すじ玉」六五〇円、子供に人気の「チーズコーン焼」七五〇円、肉・豚・エビ・イカ・すじ入りでボリューム満点の「南風焼」一〇〇〇円など、一〇品目がある。
そして南風名物が、スプーンですくって、鰹節と昆布からとっただしにつけて食べる「どろ焼」と「タコ焼」。見た感じはどちらもお好み焼き風オムレツという感じで、球形という固定概念を覆したタコ焼は初めての客から「こんなの注文してない」と言われることが多々あるという。その驚きと感動が口コミで広がり、どろ焼の構成がお好み焼きを上回る店もあるほど“南風=どろ焼”が定着し人気メニューとなっている。
どろ焼は五〇〇円からで、一番人気の「どろ・ねぎ豚」六〇〇円、女性に人気の「どろ・もちチーズ」七〇〇円、「どろ・ミックス」九五〇円など、七品目。生地に卵をたっぷり使用した「タコ焼」(レギュラーサイズ)は六五〇円、「ミニタコ焼」(ハーフサイズ)が三八〇円である。
麺類では、南風オリジナルのスープのないラーメン「鉄板ラーメン(味噌・豚骨・醤油)」六〇〇円が美味で、焼きそばと焼きうどんが混じる「チャンポン」七五〇円など六品目。たれ焼きでは、自家製のたれで味付けする「ホルモンうどん」六〇〇円など五品目。ご飯類では「そばめしモダン焼」八〇〇円など八品目。ほかに鉄板焼き四品目など、とにかくオンリーワンといえるメニューがずらり並んでおり、客を飽きさせない。ほかに各店舗ごとのオリジナルメニューがあるという。
一方で店づくりについても洋風、イタリア風などがあり、和風という固定概念にとらわれていないから驚きである。今後、中国圏、関東圏での活躍に大いに期待したい。
◆客単価=一〇〇〇~一三〇〇円/立地=郊外型路面店がメーン。量販店や駅中、商店街にも出店可能/規模=直営店舗は九〇坪・一二四席の大型店も展開。FC店舗は五〇坪・六〇席前後が標準/出店エリア=兵庫、岡山、広島、鳥取に加え、愛知(名古屋)、福岡(小倉)、香川(高松)に3~4月に出店。大阪、関東圏も視野に入れる/営業時間=午前11時30分~午後10時(午前0時)
◆「地域」「大衆」に愛されたい 悩むより走り続けて燃え尽きる 秦崚時社長
「外食産業は『顧客満足度』の商売、いかに『地域』と『大衆』のお客様に愛されるかが重要。商品では、個性を一番アピールしたい」と語る。お好み焼きの本場、広島で定着したのが自信になったという。
今後の具体的な出店目標は考えていない。「考えて悩むより走り続けて燃え尽きたい」という言葉が、今の自分に当てはまると語る。