名古屋版・超繁盛店ズームアップ:「好陽軒」メンマラーメンが大人気
ラーメン店の出店は相変わらず止まることを知らないが、ここ住宅地の中に二八年間ラーメンひとすじを貫いている「好陽軒」がある。店内はシンプルで清潔。感じの良いご夫婦がカウンターの中から明るく声をかけてくれる。創業当時、ラーメンは中華料理店で出されるメニューの一つにすぎなかったが、店主の田中茂さんはラーメンに絞りこんだ店を出すことを決めたという。名古屋では草分けだ。
飲食店経営に欠かせない「どこにもないオリジナル性」は、今大人気のスペシャルメンマラーメン(一二〇〇円)にも通じる。脇役であるメンマを準主役の地位に引き上げ、スープはヘルシー志向に合わせ塩分を通常の半分に減らしている。
「ラーメンスープは残した方がいいという風潮を考えた時、ラーメン屋としてはスープも全部飲んでもらいたくて」試行錯誤を繰り返し薬膳系の野菜をベースに考案した。
「ですから最初に食べた時には圧倒的なインパクトはないけれど、その後じわじわと効いてきてとりこになるようですよ」(笑)
確かにこのラーメンに魅せられた客が長蛇の列をつくり、マスコミにも騒がれる超有名店だ。特に自家製のメンマは関西・東海地区最大手のメンマメーカー(株)ミヨシから仕入れた台湾の乾燥原料メンマ(乾筍=写真)を圧力釜で煮て、一週間寝かせたもの。たくわんをかんだ感触に近く、分厚さにも驚きだがシャキシャキと歯ごたえもいい。
「メンマは腸の中を竹ぼうきではくという。健康にはすぐれた食材です」
デフレで低価格志向が蔓延している外食業界だが、料金は高め。それも六年半前にさらに料金を上げた。
「品質の良い素材を使い、お客さまに納得してもらえるメンマラーメンを味わってもらいたいためです。業者さんにも、とにかくいいものを持ってきてほしいと言えますし」
味への追求は妥協することがない。カウンター越しにたえず客の反応をチェックし、店が終わった後必ず味を確認する。常に時代に応じた田中さんの味への探求心は限りなく続く。
◆らあめんや「好陽軒」(名古屋市昭和区広見町二‐二一‐三、滝子バス停前、電話052・882・9780)営業時間=午前11時~午後3時、5時~8時
◆おすすめ食材 台湾の乾燥メンマ
「好陽軒のメンマは海抜一〇〇〇mの奥山の自然竹林から採取された最高品。価格に左右されない高品質のメンマこそは必ず残っていきます」(丹澤社長談)
▽(株)ミヨシ(名古屋市緑区大高町字寅新田四〇、電話052・621・3121、丹澤皓社長)