関西版:これが本場の“薪窯ピザ”だ 「ポルタヌオーヴァ」

2004.05.03 285号 13面

大阪で“薪窯ピザ”でピザを提供する店が10店舗を超え、今春にも3店舗程度の新規出店が予定されるなど、着実に増えつつある。本場のピザが認知されるとともに、ピッツェリアというイタリアンスタイルが定着しそうだ。

「Porta Nuova」(ポルタヌオーヴァ)は、大阪市内で〇二年6月にオープンしたピッツェリアとしては古株の店。ナポリ風ピザを提供するこの店を訪れたイタリア人のピザ職人が「本場のピザを食べさせる店が日本にあった」と驚いたという名店である。

昨年11月のリニューアルを機に、イタリア・ナポリの「アクントナポリ社」の薪窯を導入し、本格的なナポリスタイル薪窯ピザをスタートさせた。さらに今年2月からは、生地に使用する粉をナポリ近郊産の「トラモンティ社」のものに、チーズをイタリアから空輸される水牛の乳一〇〇%でフレッシュなモッツァレッラにそれぞれ替え、素材をグレードアップさせた。

おいしさは素材だけではない。ピザは、生地の仕込みや薪窯の火の管理をする職人の技術によって、最終的な仕上がりに大きく差が出る。

村上健太シェフは「ナポリのピザは高温で短時間で焼くのが特徴。初めはパリッと、後はモチッとという独特の食感を殺さないように、生地を練り→発酵→熟成させるのがポイント。また、ピザを窯に入れてから約一分で焼き上がるため目が離せない。秒単位の加減が必要」と語る。

本格的で高品質なピザだが、価格はリーズナブルに設定している。

ピザの定番メニューは五品。一番人気の「マルゲリータ」(トマト、バジリコ、モッツァレッラ)一五〇〇円、二番人気の「四種チーズ」(モッツァレッラ、タレッジオ、生ハム、ルーコラ)一九〇〇円など、一〇〇〇~一九〇〇円に設定。市場で毎日仕入れる魚介類の日替わりも二品程度ある。客単価は三〇〇〇円前後である。

リニューアルを機にディナータイムだけの営業に切り替えた。カップルや女性グループ、会社帰りのグループがワイングラスを傾けながら、前菜~ピザという流れをゆっくり楽しむ姿が見られる一方で、ピザやパスタをサッと食べて帰れる雰囲気があるのもピッツェリアであるこの店の特徴。トラットリーアやオステリアとも違うイタリアンスタイルとして着実に固定客を増やしている。

◆ポルタヌオーヴァ(大阪市西区靱本町1‐16‐19、電話06・6449・5688)営業時間=午後5時~翌午前3時/定休日=無休(正月除く)/席数=テーブル18席、カウンター5席

◆記者の一言

ポルタヌオーヴァの薪窯ピザは、風味、食感ともに絶品。ただテーブルの上で冷めると、せっかくの薪窯の良さが損なわれる。ゆったりとディナーを過ごしたい客は、まず前菜(冷菜・温菜)やセカンドメニューを楽しみ、その後で熱々のピザを冷めないうちに食べるという“ピッツェリア慣れ”も必要といえそうだ。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら