飲食店成功の知恵(23)開店編 内装工事中に注意ること

1993.06.07 29号 5面

《一日一度は現場に顔を》 初めて開業する小規模店の場合、えてして工事については業者にお任せ、というケースが目につく。モチはモチ屋ということで、素人が余計な口を出してもと、つい、設計段階から工事終了まで「よろしくお願いします」となりがちだ。そして、工事が終わった後になってから、あれこれと不満をもらすことになるのだが、その時はもう遅い。自分のイメージと食い違った内装、使い勝手の悪い厨房でがまんせざるを得ない‐‐こういうパターンに落ち込まないためにはまず、設計の時点で、できるだけ自分のイメージ、構想を業者に伝えることが肝心。自分で図面を引けないから代わりに描いてもらうだけで、業者の言いなりになる必要などないのである。どんどん口を出すことではじめて、個性的で使いやすいお店が実現する。

工事に入ったら、一日一回は必ず現場に顔を出すようにしたい。完成してから気に入らないといって、やり直すわけにはいかないからである。確かに素人が図面を見ても、どこがどうなるのか、分からない部分も多い。しかし、実際に現場で自分の目で見れば、自然と分かってくるものだ。そして、その場で気ずいてすぐに監督に伝えれば、それからでも修正がきくということはいくらでもある。とくに厨房の造りなど、大事な部分については、工事の邪魔にならないように気をつけながら、目を光らせる必要がある。そうすれば工事の進行具合も把握できる。

毎日「ご苦労様、お世話になります」と顔を出していれば、現場で働く人達にもあなたの熱意が必ず伝わる。そのヤル気、夢が伝わることは、工事の質にもプラスに働く。やはり、人間のやることなのだ。たまにでいいから差し入れをして、個人的にも親しくなることで、細かい部分の仕上げなど、ずいぶんと違ってくる。それが職人気質というものなのである。

と同時に、業者から工程表を提出してもらい、工事の進行状況をきっちりと確認することも必要。ひとつの工事に必要な人数、日数など、工事に入る前にあらかじめ業者に確認しておくことで、無駄な手間賃を支払うことを防げるからだ。現場の人達とのコミュニケーションと冷静な監督者としての目。この二つのポイントを同時にこなすのだから、自分で手を下さないだけで、実は工事は開業に当たっての大仕事なのである。

《ダメ工事終了後残金支払う》 工事が一応終ると、引き渡しになる。

この時大事なことは、業者の責任者立ち合いのもとで、必ず綿密な点検をすることだ。

ガス、水道、電気関係の機器はすべてスイッチを入れて試運転してみる。イスはすべて自分で座ってみて、不良品がないか確かめる。壁、床、天井の出来具合、ドアや窓の建てつけなど、それこそ重箱の隅を突っつくくらいの厳しさが必要だ。

そして、もし不都合な点があれば、その箇所の工事やり直し(ダメ工事という)を文面化して、その場で責任者にサイン、ないしはハンコを押してもらい、ダメ工事がすべて完了した時点で残金を支払う、と一筆書いておく。あとで直すからおカネを先に、という業者も多いと思うが、アテにならないことが非常に多い。工事期間中は、その他の開業準備で何かと忙しい。現場に顔を出すのはおっくうになりがちだが、後の祭りとならないために、ぜひとも実行してほしい。

なお、工事中の火事に備えて、内装工事費分の火災保険に加入すること。そして、近所(ビルのテナントならそのビル全部と向こう三軒両隣)に「ご迷惑をかけます」と挨拶に回る(業者と一緒に、菓子折りくらいは持参)ことも忘れてはいけない。

フードコンサルタントグループ

チーフコンサルタント 宇井 義行

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