施設内飲食店舗シリーズ ヒューマックスパビリオン渋谷 どこか近未来的

1993.06.07 29号 6面

JR渋谷駅から二、三分。公園通りの入口近く。右斜め前角地に丸井が位置している。丸井の白い外壁で開放的なビルデザインとは対照的に、このビルは黒を基調とする重厚な造りで、どこか近未来的なスターウォーズの世界のようなテンションを感じさせる雰囲気を訴求している。

若者の往来が激しい公園通りでの立地にしては親近感が乏しく通りの雰囲気にフィットしないビル空間という印象を強くするが、しかし、このビルデザインが同ビルの施設コンセプトとなっている。

「テンションは高く、なじむほどリラックス」というのは、このビルの基本コンセプトであるが、「……ゆったりと心を日常から解き放ち、脱日常を堪能すること。つまり、入るにはよい意味での緊張感が必要で、中に入ると心地よいくつろぎのある…」というのが、コンセプトのディテールだという。(㈱ヒューマックスハート企画開発部)

ヒューマックスパビリオン渋谷は、昨年11月にオープンしたものだが、それ以前は昭和38年から中国レストランの獅子林が営業していた。

店舗の老朽化と土地の有効利用という考え方で、スクラップ&ビルドを進めることになったわけだが、建物は地上一〇階、地下三階建て、敷地面積一五八坪、延床面積一三六三坪という規模で、総工費約四一億円を投入している。

施設とフロア構成は7面別掲のとおりで、地下一、二階にイタリアンダイニングバー「ベリーニ」、一、二、三階に「ディズニーストア」(テナント出店)、四、五、六階松竹系洋画ロードショー館「渋谷ジョイシネマ」、七階和膳・しゃぶしゃぶ「以心」、八、九階チャイニーズレストラン「獅子林」、一〇階メンバー制「チャイナクラブ」の計六店舗を展開している。

◆「ベリーニ」

《ベリーニ》 アペタイザー一九種(一〇〇〇~一五五〇円)、ピザ六種(一二〇〇~一六〇〇円)、サラダ四種(六〇〇~一六〇〇円)、スープ二種(一〇〇〇円、一二〇〇円)、パスタ・リゾット一三種(一二八〇~一八〇〇円)、メーンディッシュ一四種(一六〇〇~二八五〇円)をラインアップしているほか、ケーキ(一五種)とフード・ドリンクの食べ・飲み放題のランチビュッフェ(一六〇〇円)、前菜とデザート・ドリンクの食べ・飲み放題のホリデーランチ(一九〇〇円、二五〇〇円の二種)を導入しており、独自のメニュー構成をアピール。

メーンディッシュは、鯛のグリルバーキュー野菜添え(一八〇〇円)、オマールエビ、アサリ、ホタテ、白魚のイタリア風ブイヤベース(二八五〇円)、スズキのオーブン焼き生トマトソース(二六五〇円)、旬の白身魚のムニエルアサリソース(二一八〇円)など、魚介類を主体としたもの。パスタはアサリとトマトのスパゲティ一六〇㌘(一四八〇円)、魚介類のスパゲティ一六〇㌘(一八〇〇円)、生クリームのミートソーススパゲティ一六〇㌘(一三八〇円)、タリオリーニのカニクリームソース一四〇㌘(一六〇〇円)などで、全メニューが一・五~二人前のボリュームという料理形態になっている。

これはパーティー客やグループ客を多く集客しようという考えから具体化しているもので、フロア(客席)構成もそういった対応になっているほか、フードメニューに加えてはビール、ウイスキー、ブランデー、シェリー、リキュール、スピリット、ジン・カクテルなど各種のアルコールもラインアップしている。

◆「以心」

《以心》 しゃぶしゃぶと和食料理を売り物としており、一般のフリー客に対しては一〇〇〇~二五〇〇円の各種ランチを提供している。

・日替り■御膳(平日のみ)一〇〇〇円

・ともえ御膳一五〇〇円

・天ぷら御膳一八〇〇円

・しゃぶしゃぶランチ二〇〇〇円

・石焼ステーキ御膳二〇〇〇円

・松花堂二五〇〇円

・以心御膳三〇〇〇円

・季節御膳五〇〇〇円など。

ディナーメニューとしては

・しゃぶしゃぶ以心オープン四五〇〇円

・しゃぶしゃぶオープン(飲み・食べ放題)六〇〇〇円

・特選しゃぶしゃぶ六〇〇〇円

・特選しゃぶしゃぶ和膳コース八〇〇〇円

・雪和膳コース四〇〇〇円

・月和膳コース六〇〇〇円

・花和膳コース八〇〇〇円など七種ほか、各種一品料理約二〇種をラインアップしている。

◆店舗施設・構成・飲食店舗概要

▽オープン‐平成4年11月26日

▽施設概要

・用途‐複合商業ビル

・所在地‐東京都渋谷区宇田川町二〇‐一五

・施主‐㈱ヒューマックス

・規模‐地上一〇階、地下三階

・敷地面積‐一五八坪

・延床面積‐一六六三坪

▽施設コンセプト

「テンションは高く、なじむほどリラックス」。緊張の中のくつろぎをアピールした施設展開。

▽店舗構成

・地下一、二階‐イタリアンダイニングバーベリーニ

・一、二、三階‐デイズニーストア

・四、五、六階‐渋谷ジョイシネマ(松竹系洋画ロードショー館)

・七階‐和膳・しゃぶしゃぶ以心

・八、九階‐チャイニーズレストラン獅子林

・一〇階‐チャイナクラブ(メンバー制)

▽飲食店舗概要(フロア構成)

・イタリアンダイニングバー「ベリーニ」(魚介類を中心とした南イタリアの料理)、地下一階 店舗面積八四坪、客席数一一〇席。地下二階 店舗面積一〇一坪 客席数一三〇席、客層 平日/OL、ビジネスマン。土日祭/ショッピング帰りの主婦、カップル。客単価 平日一六〇〇円、土日祭二〇〇〇円。

・和膳・しゃぶしゃぶ「以心」七階 店舗面積一一七坪、客席数一一九席。客層 OL、ビジネスマン、主婦層、カップル。客単価 平日一五〇〇円、土日祭二七〇〇円。

・チャイニーズレストラン「獅子林」八階 店舗面積五八坪、客席数八五席、九階 店舗面積六五坪、客席数七二席。客層 OL、ビジネスマン、主婦層、カップル。客単価 昼一八〇〇円、夜五〇〇〇円。

・チャイナクラブ(会員制)一〇階 店舗面積四四・五坪、客席数四四席。

施設展開の目的/固定客づくりと他店舗への波及効果を意図。

会員ターゲット/仕事のプロ意識をもった二〇代後半と三〇代を中心としたヤングアダルト層。

会員料金‐入会金七万円、月会費一万円、ビジターフィー一〇〇〇円(会員と同伴の場合)、二〇〇〇円(会員同伴でない場合)、現会員数二〇〇名、募集会員数四〇〇名。

▽初年度売上げ目標

「ベリーニ」月商三五〇〇万円、「以心」同二五〇〇万円、「獅子林」同三五〇〇万円、計月商九五〇〇万円

◆「獅子林」

創業三〇年の歴史を誇る中国料理の老舗だが、リニューアル後も本格的な中国料理の提供は変わらないが、料理のサービス面については、前菜をイタリア料理風にワゴンで提供したり、また、ホット料理をフランス料理風に銀製のプレートカバーでサービスするなどと、西洋スタイルを採り入れて旧来の型にとらわれない運営形態を打ち出している。

店舗の運営はランチタイム(月~土/午前11時30分~午後3時、日祭午後5時)、ディナータイム(午後5時~11時)の二本立てで行っており、ランチがコーヒー、デザート付き一〇〇〇円、一二〇〇円、一五〇〇円の三種。このほかに三〇〇〇円のコース料理をラインアップしている。

ディナーは一般コース料理が四〇〇〇円、五〇〇〇円、六〇〇〇円の三種。宴会コースが五〇〇〇~一万二〇〇〇円まで六種を揃えており、サラリーマンやOLのランチから企業の接待や婦人層の会食まで、多様な利用形態に対応するメニュー構成となっている。

《2万人集客ジョイ シネマ》 なお、同ビルのジョイシネマは月間平均二万人の客数を集客しており、各飲食店舗への来店動機を大きく喚起している。

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