商業統計速報(下) 4・販売効率 5・来客用駐車場 6・業態別動向
《回転率が高いハンバーガー店》 一商店当たりの年間販売額をみると、一般飲食店平均では二七七一万円で平成元年に比べ五〇一万円、前回比二二・一%の増加となった。なお、喫茶店を除いた一般飲食店平均では三二五八万円となった。
これを業種別にみると、ハンバーガー店が一億三八五万円と一億円を超え、一般飲食店平均の約三・七倍と最も高く、ついで、西洋料理店(六七五〇万円)、日本料理店(五四四九万円)の順となった。
また、年間販売額から導かれる来客延人数を来客収容人員で除した業種別回転率でみると、ハンバーガー店が二五九四回と最も高い。これは、年間営業日数を三六五日と仮定すると、一日当たり七・一回転することになる。ついでその他の一般飲食店(一四六三回)、中華そば店(一二九一回)、そば・うどん店(一一三〇回)の順となっており、単価が安い商品を販売している業種で回転率が高いことが表われている。
つぎに従業者一人当たりの年間販売額をみると、一般飲食店平均は五三七万円で平成元年に比べ四八万円、前回比九・八%の増加と前回の伸び率を上回った。これを業種別にみると、すし店が八二三万円と最も高く、ついで日本料理店(六八三万円)、中華料理店(六四四万円)の順となった。
なお、一商店当たりの年間販売額が最も高いハンバーガー店は、三七九万円と他の業種に比べてきわめて低いが、これは従業者のパートタイマー比率が高いと考えられるためである。
《半数の商店が 駐車場を保有》 全国の来客用駐車場を持つ商店数は、専用、共用合わせて二六万商店、全商店数の五四・九%の商店が保有している。内訳は専用駐車場を保有する商店は二〇万四〇〇〇商店で、来客用駐車場の収容台数は二〇四万四〇〇〇台、共用駐車場を保有する商店は五万六〇〇〇商店、駐車場を保有していない商店は二一万三〇〇〇商店であった。
専用駐車場収容台数を同保有商店数で除算した一商店当たりの収容台数は一〇・〇台であった。
業種別にみると、西洋料理店九・〇台、焼肉店の六・二台、日本料理店の五・五台と多く、お好み焼店一・三台、その他の一般飲食店二・四台と少ない。
これは、西洋料理店のなかには郊外にみられるファミリーレストランなどが含まれること、一方、お好み焼店は市街地に立地する商店が多いことなど、立地条件の違いによると思われる。
都道府県別にみると、来客用駐車場の収容台数の上位は愛知、埼玉、北海道、茨城、岐阜、長野であり、少ない県は、島根、鳥取、長崎、佐賀、和歌山などであった。
これを一商店あたりの収容台数でみると、上位は茨城県の九・〇台をはじめ、群馬、栃木、岐阜、長野、少ない県は東京の一・〇台につづき大阪、京都、神奈川、兵庫であり、駐車場の少ない県は、都市部に集中している。
また、来客用駐車場の有無と一商店当たり年間販売額の関係をみると、全国平均では共用駐車場を有する商店の販売額が最も高く、ついで専用駐車場、駐車場のない商店の順になった。
《グルメ志向でC R、DR店増加》 業態別は、商店を来客一人当たりの消費金額と料理時間、セルフサービスの有無、来客収容人員数で再分類をしたものであり、その他を除く四業態(ファースト・フードタイプ店〈FF〉、ファミリー・レストランタイプ店〈FR〉、カジュアル・レストランタイプ店〈CR〉、ディナー・レストランタイプ店〈DR〉)を特定業態店とした。この特定業態店は全商店数の一八・七%を占めている。
業態別商店数を法人・個人別にみると、法人商店は喫茶店を除くすべての業態で増加となったが、個人商店はCR、DR以外のすべての業態で減少となった。FFは三万二〇〇〇店(前回比二・七%減)。そのうち法人商店は同九・〇%の増加、個人商店は同一〇・九%の減少となった。FRは一万七〇〇〇店(同一・五%減)。うち、法人商店は同一・四%の増加となり、個人商店は同一一・〇%の減少となった。
法人FRの増加は法人商店の多支店展開が進んだものと思われる。
CRは二万七〇〇〇店、同二九・七%の増加となった。うち、法人は同二五・四%増、個人も同二三・三%の増と法人、個人ともに大きく増加した。DRは一万二〇〇〇店、同五一・七%の増加。うち法人は同五〇・六%の増加、個人も同五二・七%と大きく増加した。CRやDRの増加は一人当たり消費金額の増加により、FRからのシフトに加え、近年のグルメ志向の影響もあると考えられる。
年間販売額を業態別にみると、FF九八七八億円(元年対比六・六%増)、FR一兆八四二三億円(同八・一%増)、CR一兆二〇〇四億円(同三一・四%増)、DR九〇四七億円(同四二・八%増)となった。
一商店当たりの年間販売額を業態別にみるとFRが一億一〇二二万円と最も高く、ついでDR七四五五万円、CR四四二四万円、FF三〇六七万円となった。これを元年と比較すると、DRだけが五・一%減少(四六三万円減)となった。これは商店数が大きく増加したほどに年間販売額が伸びなかったことを示しているが、規模の小さい商店が増加となったことによると思われる。
従業者一人当たりの年間販売額を業態別にみると、DR八一七万円、CR六七一万円、FR五二六万円、FF四五三万円となった。これを元年と比較すると、FRが横ばい、CRが一・九%の微増にとどまった。
一商店当たり来客収容人員数をみると、平均は三八・三人と元年より二・三人増加している。
業態別にみると、FR一三〇・二人、FF六八・五人、DR五八・五人。来客収容人員数が前回より増加した業態はFFのみであった。