この食材でこのメニュー ココナッツの利用法と特性
ココナッツは英語名。フランス語でヌワ・ド・ココ、イタリア語とスペイン語ではココ、日本名はヤシ。原産はマレーシアであるが南洋、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯に産し、熱帯植物の代表として経済的に最も高いウエートをしめている。
ココナッツほど熱帯地方にとって有用なものはない。未熟なココナッツの実は、緑色かやや茶褐色をしている。この未熟果の先端を切り落とし果皮に穴をあけると果汁が多くあり一個で二㍑近くある。果汁はやや生臭みはあるが、軽い甘味があり、サッパりとしている。実をつけて六カ月たつと果肉ができ始め、この段階で果肉を食べるとゼリー状で最高の味である。ほんのりと甘く、口当たりもソフトで、熟したココナッツとは全く別の味がする。やがて実が完熟すると白い堅い果肉と変わる。このよく熟したココナッツをすりおろしてココナッツミルクを作る。
また、白い果肉の胚乳の乾燥したものをコプラと呼んでいる。核を割り開いて脂肪質を取り出し、天日または火力で乾燥する。約七〇%の脂肪を含み圧搾してコプラ油(ヤシ油、ココナッツ油とも呼ぶ)を取る。コプラ油の特徴は融点が二〇~二八℃で低級脂肪酸が多く、不飽和脂肪酸の少ないことである。これを精製して製菓用、マーガリン、ラーメン用揚げ油、石けんなどに使われる。このコプラを糸状に切って乾燥したものはデシケーテット・ココナッツと呼び、ケーキ、チョコレートなどの製菓用をはじめ、料理用としても利用度の高いものとなる。