理想を追求した究極鶏「みつせ鶏」 これが昔ながらの日本の鶏

2005.02.07 296号 3面

地鶏に負けない風味と歯ごたえ、やわらかくジューシーな食感、値段の手ごろさ。今や「みつせ鶏」といえば、九州全域はおろか全国的にもその存在を知られてきている赤鶏(銘柄鶏)。その鶏を自ら育てあげ、商品化しているのが佐賀県に本社を置く(株)ヨコオ(佐賀県鳥栖市、電話0942・82・5125)だ。

大正15年、米穀商として創業した同社は、昭和35年に飼料販売をスタート。38年には(有)横尾商店を設立し、その翌年から鳥栖鶏肉加工場を新設、販売を始めた。

当初は加工冷凍食品を中心に若鶏のブロイラーを販売していたのだが、「もっとおいしい鶏を」という客の声から新たにみつせ鶏は生まれた。

「ブロイラーとはもともとアメリカから来た高タンパクの鶏。今から20年ほど前の日本ではタンパク質摂取の効率化が優先され、鶏そのものがまるで工業製品のように扱われ始めてきた。そんな時に一部のユーザーから、『昔ながらの日本の鶏が食べたい』という声をいただいたんです」とヨコオフーズ名古屋営業所営業部長の近藤氏。

その後、ヨコオ独自の試行錯誤を重ねた結果、種鶏としてフランス産の地鶏にたどり着く。販売コストや飼料の配合といった無数の問題点をクリアし、平成6年にみつせ鶏の販売を開始。全国の量販店や生協、外食店への参入を果たすこととなった。

◆明確な生産履歴の情報 エサは植物主体の配合飼料

目指すは「健康でおいしく、みんなに親しまれる鶏」。そこで最も重要となるエサには植物主体の独自の配合による飼料を与え、環境面もしっかり整えている。また、飼育を依頼する契約農家を厳選し、みつせ鶏の生産履歴の情報が明確に分かるトレーサビリティーをいち早く導入。さらに、親子二代に遡っての履歴が分かるインテグレーターと呼ばれる仕組みをも取り入れるなど、徹底した安全・品質管理が行われている。

こうした努力の末に培われた味とともに注目すべきはその効能だ。一般的に美容やダイエットに効果的な必須アミノ酸の含有量が多い鶏肉のなかでも、みつせ鶏の脂肪分は若鶏の1/3。加えて、ほかの鶏よりもリノール酸、アラキドン酸が数倍多いことがデータに出ている。

こうしたさまざまな利点が、生産数年間310万羽、国内にある50種以上の赤鶏のなかでみつせ鶏が日本一の処理羽数を誇るゆえんなのである。

◆野菜とセットで循環生産事業に

今後の課題としては委託している生産農家の跡継ぎ問題もあるが、同社では直営農場の強化に力を注ぐとともに、環境面においても鶏糞処理を堆肥化する事業の立ち上げに取り組み始めている。これによって、野菜作りを伴う循環型農業へと移行し、3年後にはみつせ鶏と野菜のセットを目指した事業を確立したいと、現在、業界の新たな試みとして計画を進行中だ。

外食産業の面では、どこまでユーザーと一緒になってみつせ鶏を共有できるか、生産者が厨房に立った考え方を基点として、生産農家や工場、各部署の代表者とみつせ鶏を仕入れるオーナーや店長との意見交換ができる交流会を開いていきたいという。

“本当においしい鶏”を提供する「とり屋」の立場で、ともにモノ作りをしていきたい。かくなる理念を貫き続けてきたヨコオの飽くなき挑戦はとどまることを知らない。

◆会社概要

(株)ヨコオ(佐賀県鳥栖市山浦町一二三九、電話0942・82・5125(代))代表取締役=横尾和浩/創業=大正15年1月/資本金=一億二四五〇万円

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