東芝コンシューマーマーケティング、注目集める「真空マイクロ波解凍機」

2005.04.04 298号 5面

東芝コンシューマーマーケティング(株)(東京都千代田区、電話03・3257・6150)の「真空マイクロ波解凍機」が量販店の鮮魚売場で注目を浴びている。解凍中にドリップが出ないため、冷凍マグロなど素材のうまみを逃がさない。さらに、従来の解凍法による表面の乾燥、ふやけによる品質の劣化がなく、短時間で均一に解凍できるため、歩留まりも大幅に向上する。一〇キログラムの凍結物なら約三七分で解凍できるので、客足や商品の売れ行きをみながら解凍量を調整できる。見込みロスを最小限に抑え「コストの改善」にもつながる。解凍時は水を一切使用しないため、雑菌の繁殖する培地を作らないので厨房を衛生的に保てる。すでに首都圏の中堅スーパーを中心に五〇〇台の販売実績がある。

標準機種は四種類で、解凍量一〇キログラム対応のスタンダードタイプ(二種類=三三〇万円、三〇〇万円)と五キログラム対応のコンパクトタイプ(二種類=一八〇万円)がある。一回当たりのランニングコストは一〇キログラムタイプで約二三円、五キログラムは約九円程度。機械サイズもW七〇〇×D八〇〇×H一四〇〇ミリメートル(スタンダードタイプ)と他の厨房機器と並べてバックヤードに設置できる。

同機種の解凍の原理は、真空冷却とマイクロ波による加温を繰り返すハイブリッド方式。凍結物を庫内に入れ、真空ポンプで減圧。真空で氷や霜が一気に気化(昇華)し、食材の表面を冷やす。今度は庫内の減圧を止め、マイクロ波で加熱。解凍設定温度のマイナス一・五~同七度Cまでこの作業を繰り返すことで、食材の細胞を壊さず短時間に解凍できる。

解凍食材は主にマグロやサバ、甘エビ、カニ、ホタテなどの魚介類だが、豚・鳥・牛など肉類や大福などのニーズもある。

これまで解凍技術は冷凍技術に比べ遅れていた。組織を壊さず急速冷凍はできたが、その逆は難しかった。このため、解凍は温塩水や静電気、高周波などで「溶かす」のが一般的だった。温塩水では解凍物を引き上げるタイミングも職人技で単純労働化が難しい。その他の解凍法でも解凍焼けや解凍ムラがあり、歩留まりが大幅に低下する。

北関東のあるスーパーでは同解凍機を導入して以来、「解凍後の劣化が少なく、鮮度が向上し、ドリップがないので夕方のタイムサービス時でも従来並みの割引値札がいらなくなった」と品質向上が価格に直結して、喜ばれているという。

同社は実際にテストしてもらうよう、実機の貸し出しも行っている。

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