ユニチカ、世界初の高耐熱性ポリ乳酸樹脂を100%植物性で開発

2005.04.04 298号 5面

ユニチカ(株)(大阪市中央区、電話06・6281・5695)は、一二〇度C以上の耐熱性と五~五〇倍の発泡特性(※1)を備えたポリ乳酸の開発に世界で初めて成功した。熱湯の注入や電子レンジ加熱が可能で、弁当容器や食品トレー、カップ麺の容器など、従来難しかった各種発泡形成品への応用が期待されている。一〇〇%植物系樹脂からなる生分解性樹脂のため、使用後には生ごみとともに堆肥化が可能だ。価格はポリプロピレン・フィラー系(PPF)樹脂の二~三倍するが、同社ではすでに年間一〇〇〇t以上の生産体制を整え、初年度は五億円、三~五年後には五〇億円の売上げを目指している。

同技術は再資源化が可能な生分解性樹脂であるポリ乳酸に耐熱性を付与し、押出し成形(※2)に適した樹脂に改質するもの。粘度調整で成形加工が容易になった。

成形品の耐熱性は、既存のポリスチレン系製品はもとより、近年押出し発泡用樹脂として急伸しているPPFに匹敵。高発泡倍率でも均一な品質が維持でき、一二〇度C以上での熱成形も可能だ。ポリ乳酸は強度に優れ、比較的肉薄の成形品でも一定の強度が保てるため各種容器への使用に適している。

ポリ乳酸は樹脂を溶融したときの粘度が低いため、発泡形成や空気を吹き込むブロー形成には不向きだった。また、従来のポリ乳酸系樹脂の耐熱性は六〇度C程度で既存の石油系樹脂と比べて極めて低い。倉庫保管時や船舶での輸送時に長期間高温にさらされた場合に熱変形を受けるケースも報告され、用途展開に著しい制限を受けるのが実情だった。

同社はポリ乳酸を主成分とする環境低負荷素材「テラマック」を樹脂だけではなくフィルムやシート、繊維などで幅広く展開。同技術による樹脂は将来的に「テラマック」事業の基幹となることが期待されている。

※1発泡特性=樹脂を加工時に発泡させる倍率を発泡倍率といい、一般的に倍率が高いほど体積が大きく軽い製品となる。

※2押出し成形=加熱・加工して溶融状態になった樹脂を型から押出して成形する方法。

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